ひぐらしのなく頃に業・卒とはなんだったのか
ひぐらし業卒、すごい話だ…
それが言いたいだけのフランクな記事ですが、結構核心めいたところにも突っ込んでいくかもしれません
まず雛見沢症候群って何だったの? という話をしたいんですが…
コミカライズ「ひぐらし巡」の郷壊し編では、業卒世界における雛見沢症候群の設定が明言されました
曰く「羽入が消失したことにより、自然発症(末期発症)しない」らしいです
まあ、このへんはアニメ「ひぐらし卒」でも(明言こそされないものの)描写はありましたね。郷壊し編で沙都子が末期状態から完治してましたし、それについて梨花は「誰かさんの疑心暗鬼が治ったからだ」とか言ってますが…
つまり羽入が諸悪の根源なんじゃないの?
たぶん、そう…
要は、この「部活メンバーの誰かが疑心暗鬼に囚われて惨劇を起こす」…いわゆる旧作におけるルールXってのは、人の世に絶望して人間不信に陥った羽入が自らに課したゲームなわけですよ
疑心暗鬼をトリガーに惨劇が起こり得るゲーム盤を用意して、それでもニンゲン同士が信じ合えるか試してたって、そういう単純な話です
…それで惨劇が発生して「やっぱニンゲンなんてロクでもねーです、あぅあぅ」で終われば良かったところを、あろうことか羽入がループさせてしまったのが恐らく全ての発端……
羽入がハッピーエンドで満足しないとルールXは消滅しないのに、ルールXのせいで羽入が望む結末を得られないというロジックエラーが発生し、嫌になって梨花に丸投げした…というのが旧作のシナリオなんじゃねーかな…というのが最近の考えです
羽入の疑心暗鬼を治すカウンセリングだったんですよ、ひぐらしって
そう考えると皆殺し編のラスト~祭囃し編も腑に落ちるんじゃないかと思います
このシナリオでは部活メンバーが互いを信じ合い結束できたものの、しかし羽入だけは最後まで彼らを信じ切れず、それが敗因となりました
で、レナに諭された羽入が奇跡を信じてゲーム盤に降り立ったのが祭囃し編です
なんで急に実体化してんねん? って感じですが、そもそもゲーム盤の意義から考えれば、梨花は羽入にゲームを押し付けられたから頑張ってただけで、本来の主人公は羽入のはず
…つまり羽入が実体化してる方が本来あるべきカタチなんですよ。だから当然、記憶継承も梨花じゃなくて羽入に行われると。そういうことなんです
そして部活メンバー全員が信じ合えたから大団円が訪れた…んですが、惨劇が再び発生したのが業卒の話
だって沙都子が梨花を信じられなくなったんだもの
マジでそういう単純なことなんですよ。そういう単純なところに大事なものが詰まってる
まあ沙都子は羽入と違ってニンゲンの信頼を試したりしません。ひたすらに梨花の意志をへし折って自分の理想に引きずり込もうとするだけです
そのために沙都子はH173を使用して様々な人物を強制発症させて惨劇を発生させました。だって自然発症しないんだもの…
ちょっと話は逸れるんですが、H173について語ってもいいですか?
羽入が自然発症の要因であるという前提で考察すると、かなり面白いアイテムなんですよねコレ
「雛見沢症候群を発症させる」ことがGMたる羽入がゲーム盤を掌握している所以だとして、強制発症薬であるところのH173は羽入以外の存在がゲーム盤を掌握するためのアイテムに他ならないわけです
だから鷹野や沙都子が使用しているわけですね…
それでこの、沙都子によるH173による強制発症については「やっぱ天然(自然発症)に比べて味が劣るな~」みたいな感想も散見されます
ただそういう疑心暗鬼云々は、業卒の主題ではないんです。沙都子は別に梨花以外の人物に疑いを抱いてるわけではないですからね…
ここで、ひぐらし旧作のメインテーマとなる「絆・団結」あたりについて、もうちょっと掘り下げたいんですが、重要なのは「全員が同じ方向を見る」という点です
さて、うみねこには「黄金の真実」という概念が登場します
一言で表すならば「総意」です。地球が太陽の周りを回っていたとしても、全員が天動説を支持してる以上、太陽が回ってる方が「真実」だよね…みたいな話です
まあ、科学的事実がどうとかは関係ないんですよ
大事なのは「総意」。全員が同じ意見で同じ向きを見ていること
その「総意」によって生み出されるパワーが奇跡を招く…というのが、どうもWTCシリーズ(ひぐらし・うみねこ・キコニア)の根底にあるのではと思います
話は戻って…
沙都子が自分の理想に梨花を連れ込もうとするのは「(一緒に雛見沢に留まるという)総意」を形成したいからです
もっとも総意と言っても、沙都子と梨花の二人だけの世界の話です
しかしそれが成立しなくなったからこそ彼女たちの宇宙は壊れてしまい、それをどうにかするのが業卒における彼女たちの課題なわけです
そして散々殴り合って殺し合って至った結論が「一旦、離れよう」
ルチーアに進学するとか、雛見沢に留まるとか、もう彼女たちにとってそんなのは些細なことで。広い世界でたった二人の「繰り返す者」である以上、離れても、別れても、時間も距離も関係なく、決して繋がりが途切れることはない…そういう共通認識、「総意」が二人の広大な宇宙で形成されたのが、業卒の最終話です
エウアがこの結末を奇跡と呼ぶのは、梨花と沙都子が鬼狩柳桜を用いることなく「同じ方向を見る」ことができたからなんですよね
鬼狩柳桜は「繰り返す者を殺す剣」と説明されていますが、その本質は排除・排斥なんじゃないかと思います
もしも最終話で梨花が沙都子を殺していたら、ルーパーとしての沙都子は消失し、そうなれば沙都子の「一緒に雛見沢に留まる」という意見は強制的に排除されるわけです
そして梨花の「一緒にルチーアに進学する」という意見だけが残り、それが「総意」となります。逆もまた然り
早い話が、「異なる意見を全部消せば、自分の意見で統一できるじゃん」を具現化した剣なんですよ、恐らく
だからこそ鬼狩柳桜は人の世に現れてはならないし、それを手にしながら行使しなかった古手梨花という女はエウアにとってありえない存在、まさに奇跡だったわけです
ひぐらし業卒、すごい話だ…
ひぐらしのなく頃に 「エウア=別世界の古手梨花」説
「フィーア、いやミツヨだったか。それとも…特異脊髄標本LD3105号と呼んだ方が似合いかな?」
上記は業21話でエウアが沙都子と初めて邂逅したときの台詞です。「フィーア」「ミツヨ」「特異脊髄標本LD3105号」は、「キコニア」から引用していると考えられる名称ですが、ここで重要なのはエウアが複数の名前を列挙したという点です
「哀れなことよな、…いや悲しくさえある。…あれほどに我を追い求めて那由他の時を彷徨ってきたというのに、遂にというこの機運に際し、そなたは我のことを既に忘却していたというのか」
邂逅時、沙都子はエウアに面識がありませんでしたが、それに対してエウアは「悲しくさえある」と感情を表明していました。卒13話でも「フィーアが記憶を失っていると知ったときは甚く興醒めしたものだが…」と語っています
つまりエウアとしては、長い時間を経て「フィーア」がようやく自分に辿り着いたと思ったら、すっかり記憶を喪失して別人になっており、落胆していたわけです
これを卒15話で示された「梨花と沙都子の関係」に照らし合わせると、一つの説が浮上します。それはフィーアは別世界における沙都子であり、エウアは別世界における梨花であるというものです
かつて赤き海の星、つまりキコニアの世界でエウアとフィーアは、梨花と沙都子のような追い・追われを繰り返していたと考えられます
その中で「フィーア」は姿や名前を変え、「ミツヨ」や「特異脊髄標本LD3105号」としてもエウアを追い求めていたのではないでしょうか
エウアが沙都子に対して複数の名を列挙したのは区別がつかなかったのではなく、姿や名前を変えたとしてもフィーア本人の魂であると理解していたためです
これを業卒の梨花と沙都子で喩えるならば、駅のホームでの別れから何千年何万年という天文学的な時間の果てに、全く異なる世界で全く異なる姿で再び邂逅しても、即座に目の前の人物が「沙都子」であると理解して名前を呼んだようなものです
沙都子はエウアを忘却していましたが、それでもエウアにとって沙都子はフィーア本人に変わりはありません。エウアが沙都子の願いを叶えるために助力したのは、退屈しのぎもありますが、好意による部分も大きいと思われます
「えー…、うー…あー……」
「それでよい…! やはりそなたはそなたであったな…!」
完全にフィーアの記憶を喪失していた沙都子でしたが、偶然とはいえ、エウアに対して「エウア」という名を与えました。恐らく「エウア」という名はかつての世界でフィーアに与えられたものと考えられ、エウアが「そなたはそなたであった」と喜ぶのも当然でしょう
まとめると、「エウアとフィーア」は別世界における「梨花と沙都子」に該当する存在であり、エウアの意味深な台詞は業卒とキコニアとの繋がりを仄めかすだけでなく、「最終話を経た梨花と沙都子」に訪れる可能性の示唆として機能していたということになります
なおエウアの正体については以下の記事で詳しく取り扱っています
ひぐらしのなく頃に卒 エウアの正体について
ひぐらし業・卒に登場する謎多きキャラクター「エウア」
この記事では彼女について考察・予想していきます
◆名前の由来
「エウア」という名前の由来は、「福音」を意味する「エウアンゲリオン」だと考えられます
福音とは「良い報せ」のことであり、「キリストの教え」または「キリストによってもたらされる人類救済と神の国に関する報せ」を表しています
また旧約聖書におけるアダムの妻「イヴ」はギリシア語読みでは「エウア」であり、こちらも名前の由来の一つと思われます
「イヴ」という名はアダムによって名付けられたと記されており、ひぐらし業でエウアに名を与えた沙都子をアダムに見立てることもできるでしょう
◆ウィルス説
ひぐらし世界における上位存在には、エウアのほかにも羽入・田村媛命などが挙げられます
羽入・田村媛命の正体は地球外より飛来し、人類脳内に寄生するウィルスであると「神姦し編」で明かされています
そして彼女たちウィルスの女王感染者は「巫女」と呼ばれ、特殊な能力を得ることができます
たとえば羽入の巫女である古手梨花は記憶継承によるループが可能で、田村媛命の巫女となった鷹野三四は身体強化による怪力を手に入れていました
羽入たちと同様にエウアの正体もウィルスであると考えるのが妥当でしょう
エウアの女王感染者、つまり巫女となった沙都子が記憶継承能力を獲得したのは本編で語られた通りです
◆「郷壊し編 其の四」のワードについて
業21話では、エウアが沙都子に対して意味深な発言をしており、その中には「赤き海の星」「フィーア」「ミツヨ」「特異脊髄標本LD3105号」という謎のワードが含まれていました
これらのワードは全て「キコニアのなく頃に」に関連するものです
「キコニア」は「ひぐらし」や「うみねこ」を含めた「when they cryシリーズ」の最新作であり、第三次世界大戦より百年を経過した「A3W」と呼ばれる時代を舞台にした物語です
●フィーアとミツヨ
キコニアには「フィーア・ドライツィヒ」という鷹野三四に瓜二つの科学者が登場します
「ミツヨ」という人名はキコニアにも未登場ですが、恐らくは「ジェストレス」という正体不明の女の本名だと思われます
●赤き海の星
キコニアでは、第三次大戦後に訪れた核の冬の大気浄化を目的として、地球全域にナノマシンが散布されています
このナノマシンはエイトミリオンズシステム、通称8MSと呼ばれており、その用途は大気・水質等の管理から通信、医療、軍事にまで至っています
A3Wにおいては海の発色すらも8MSにより管理されていますが、何者かの悪意あるハッキングにより色情報のRGBよりGBの成分を削除されてしまい、その結果として地球上の海が真っ赤に染まることになります
つまりエウアの発言した「赤き海の星」とはキコニアの舞台であるA3Wの地球であり、エウアはそこで「フィーア」や「ミツヨ」と面識があったということになります
●特異脊髄標本LD3105号
キコニアでは人体から脳脊髄を抜き取る「工場」のような施設が存在します
恐らくは脳脊髄から精神を抽出して電子化する施設であり、文明の終端に至った人類をより高次の存在に進化させるのが目的と思われます
「工場」のシーンでは、人類を新天地・楽園へ導くと宣言する謎の声の描写がありますが、その口調はエウアと完全に一致しているため、エウア本人と考えられます
なお「特異脊髄標本」というワード自体はキコニア本編でも未登場です
◆8MS説
エウアの出自がA3Wであることから、その正体を「脳内に寄生するウィルス」ではなく「脳内に充満する8MS」と仮定します
エウアを8MSと仮定することで、感染者の記憶継承を「電子化された記憶の送受信」と捉えることができ、カケラを俯瞰する上位世界も電脳世界であると解釈できます
また同系統の能力を有する羽入の正体もウィルスではなく8MSであったと考えるのが妥当です
◆RGBについて
「赤き海の星」の解説でRGB(光の三原色)に少し触れましたが、業・卒のOP映像からは、エウア・沙都子・梨花の三人が赤・緑・青と関連付けられているように見えます
さらに業・卒では古手神社の紋のデザインが旧作から変更され三つ巴となっており、ここからRGBという三色を三つの勢力に見立てることができるでしょう
また梨花・沙都子の「魔女の目」が赤色なのは、エウアの能力によるループだからであると思われます
◆赤の女王説
業・卒では背景の描写が旧作から全て左右反転しています
このことから少女が鏡の世界に迷い込む「鏡の国のアリス」がモチーフの一つではないかと予想されており、猫騙し編におけるハンプティ・ダンプティの描写がそれを裏付ける要素となっています
鏡の国のアリスには「赤の女王」というキャラクターが登場し、鏡の国に迷い込んだ少女アリスに対してチェスゲームに参加するよう助言します
先述したとおりエウアが赤色と関連付けられていることから、エウアと「赤の女王」の関連性も十分に考えられるでしょう
◆赤の女王仮説説
「赤の女王仮説」は1973年にバン=ベーレンによって提唱されたもので、「生物の種は絶えず進化していなければ絶滅する」とする仮説です
鏡の国のアリスにおける「赤の女王」の「ひとところに留まっていたければ全力で駆けなければならない」という言葉に因んで名前が引用されています
また「赤の女王仮説」が生物的競争の側面から進化を説明するのに対して、非生物的要因(環境変動など)を重んじる説があり、こちらは「宮廷道化師仮説」と呼ばれています
「宮廷道化師仮説」という用語は「赤の女王仮説」に対して1999年にアンソニー・バルノスキーによって生み出されました
キコニアに登場する「ジェストレス」は「宮廷道化師」を意味しており、ここから「赤の女王仮説のエウア」と「宮廷道化師仮説のジェストレス」という対立構造が見えてくるかと思います
◆まとめ
ここまでエウアの正体を考察してきましたが、まとめると、エウアはキコニア世界のナノマシン8MSであり、「赤の女王」「赤の女王仮説」をモチーフとしたキャラクターであるということになります
そのため鏡面世界に迷い込んだ沙都子をゲームに参加させ、8MSを通じた記憶継承により「魔女」という高次の存在に進化させたのだと考えられます
ひぐらしのなく頃に業・卒 時系列まとめ(沙都子視点)
祭囃し編で鷹野の計画を阻止した沙都子と梨花は、ルチーアに進学する
雛見沢での同窓会で祭具殿に迷い込んだ沙都子はエウアと邂逅し、最初のループに突入する
再び鷹野の計画を阻止してルチーアに進学するも、梨花に裏切られたため心中する(初期のループでは鷹野が終末作戦を断念していない)
沙都子は2回目以降のループに突入、梨花に進学を諦めるよう説得するも失敗に終わり自殺を繰り返す
梨花の信念が100年のループに基づくとエウアに告げられ、沙都子は過去のカケラを全て観賞する
梨花の意志を打ち砕くことを決意した沙都子は、ループによるリトライを身につけて「繰り返すもの」としての適性に目覚めていく
沙都子のループによる副作用として、蓄積された記憶の継承が発生し、鉄平や鷹野といった惨劇の要因となる人物たちが無害化していく(この現象は不可逆であり、以降のループで鷹野が終末作戦を実行することはない)
鷹野の改心を知った沙都子は、自ら惨劇の黒幕となるべく、ゲーム盤の準備に取り掛かる(H173の入手、射撃の練習などで数えきれないループを費やす)
ゲームの準備が整った沙都子は、ついに梨花とのゲームを開始する(鬼騙し・鬼明し編)。これ以降はエウアの能力によって、梨花の死後に沙都子が死亡することで同じカケラにループできるようになる。ただし沙都子が先に死亡した場合は梨花の存在しないカケラにループさせられる恐れがあるため(エウアの設定した沙都子側の敗北条件)、これまでのような自殺によるリトライは禁じ手となる
ひぐらしのなく頃に業 考察 終わらない悪夢の意味
「夢には必ず何か意味がありますのよ。梨花にとって大切な意味が」
「猫騙し編」の発症者は必ず古手梨花を殺害するが、動機に共通点はない
彼ら発症者に古手梨花を殺す理由を吹き込んでいるのは脳内寄生虫そのもの、つまり羽入に類する「人ならざるもの」であり、雛見沢というゲーム盤の支配者(ゲームマスター)である
「もうすぐで人間の脳内に入り込んだ寄生虫を根絶やしに出来るんだあッ!!」
発症者は脳内寄生虫に感染している
「途絶えなきゃいけないのさ……。この鬼の血はねェッ!!」
古手家は羽入の子孫であり鬼の血を濃く受け継ぐ家系とされる
鬼狩柳桜は人と鬼の血が交わる者にしか扱えない
「古手家の女はみんな、オヤシロさまのお怒りがあるとき生贄にされるために育てられとるんね」
古手家の女が生贄となり自身に感染させることで村人への感染を防ぐ
「蛆虫病の特効薬は何処にあるんだあッ?!」
発症者を治癒する手段があり、「古手梨花」はそれを知っている
鬼狩柳桜の存在を示唆している
「オヤシロさまは私に巫女を代わるようにと、そうお告げをくださいましたの」
巫女とは女王感染者を意味する
発症者=女王感染者であり、この雛見沢の梨花は女王感染者ではない
「梨花の不浄を……”綿流し”して差し上げるんですわ!」
不浄とは寄生虫のことである
寄生虫は「綿流し」することで体内から追い出すことができる
「僕は雛見沢が大好きなのですよ」
ゲームマスターによって示された古手梨花の役割は、鬼の血を継ぐものとして発症者を鬼狩柳桜で討ち、腸流しの儀式によって寄生虫を自分の体に感染させ、女王感染者として雛見沢に死ぬまで留まることである
これのシナリオは太古の雛見沢で羽入を討った古手桜花の再現を目的としている
ひぐらしのなく頃に業 真相考察(猫騙し編2話時点)
■雛見沢症候群2.0(仮)
「業」の雛見沢で凶行に至る人物は「雛見沢症候群2.0」の発症者である
以下が2.0の特徴である
発症すると狂暴化し、リンパ腺に異常な痒みが発生する
単独の寄生虫によって感染するため、女王感染者しか存在しない
(追記:女王感染者を母体として感染者を増やすのが目的か)
宿主死亡後にも寄生虫は消滅せず、死体から次の宿主へ感染する
宿主が死亡しない限りは、次の対象へ寄生することはできない
発症者は記憶継承者(従来の雛見沢症候群(1.0)感染者)の殺害を目的として行動する
■女王感染者の変遷
「猫騙し編」における圭一発症パターンでは6月13日に惨劇が発生しており、つまり6月13日の時点で既に死亡している人物が(古手梨花のループ起点における)最初の女王感染者であることがわかる
その人物は「間宮リナ」
本名は間宮律子。園崎組系列の風俗店で働く女で、鉄平の愛人でもある
●鬼騙し編
間宮リナは鉄平と美人局を画策し、竜宮家に近づくがレナによってダム現場で殺害される
間宮リナの死体から2.0がレナに感染。発症したレナは記憶継承した1.0感染者である圭一を襲撃するも返り討ちに遭い死亡する
レナの死体から、第一発見者あるいは圭一本人に2.0が感染して梨花を殺害。その際に抵抗した沙都子も殺害した
●綿騙し編
間宮リナは知人と画策し園崎組への上納金を横領、組によって拉致され殺害される
間宮リナの死体から園崎組の人物に2.0が感染。さらに園崎家の人物を経由し魅音に感染(経由先としてお魎や詩音などが考えられる)
発症した魅音は園崎本家を訪ねてきた沙都子を射殺するも、同じく園崎本家で作業中だった山狗に殺害される
2.0は山狗の一人(梨花と校舎裏で会話していたらしき人物)に感染し発症、梨花を殺害し便槽に遺棄した
●祟騙し編
間宮リナは痴情のもつれから鉄平に殺害される
間宮リナの死体から2.0が鉄平に感染。発症した鉄平は雛見沢に戻り、綿流し当日に1.0感染者である圭一を襲撃するも返り討ちに遭い死亡する
リナ殺しで北条家をマークしていた(沙都子が匿っていると睨んでいた)大石が鉄平の死体を発見して2.0に感染。現場の金属バットを拾って境内の梨花たちを襲撃して殺害した
●猫騙し編
赤坂:間宮リナの死体から警察関係者を経由して感染
茜 :間宮リナの死体から園崎組関係者を経由して感染
公由:間宮リナの死体から住民を経て感染(経由先が多いため21日と比較的発症が遅い)
圭一:間宮リナの死体を発見して感染(死体に沸いた蛆から「蛆湧き病」を連想した)
■鬼狩柳桜
雛見沢症候群2.0の「宿主が死亡すると別の宿主に寄生する」という性質を「死が新たな始まりでしかない繰り返す者」と見立てることで、鬼狩柳桜の能力が有効となる
つまり2.0の女王感染者を鬼狩柳桜で殺害することで、新たな感染を防ぐことができる
沙都子は2.0と敵対する寄生虫の女王感染者である
記憶継承しているわけではなく、寄生虫である上位存在の神託を受けて行動している
鬼狩柳桜の存在を把握し、祭具殿へと侵入して立像を破壊した
「業」の世界では祭具殿の格子窓に破損はないが、沙都子は南京錠程度であればピッキングできるため、祭具殿の鍵が変更された一昨年あたりから梨花のループ始点である6月12日までの間に行われたと思われる(そのため悟史が関与している可能性もある)
持ち出した鬼狩柳桜はバラバラに砕け散ってしまったため、そのカケラの一つが立像の中に取り残されていた
鬼狩柳桜の残りのカケラたちは沙都子のぬいぐるみの中に隠されていると思われる
「鬼騙し編」では2.0発症者の襲撃を受けて死亡し、「綿騙し編」では梨花の失踪を圭一が発症したと睨んで園崎本家を訪ねるも魅音に殺害された
「祟騙し編」で2.0感染者が鉄平であると確信したため圭一に殺害させようと焚き付けたが失敗する。綿流し当日、圭一に鬼狩柳桜を託そうとしたところで逆に鉄平の襲撃を受けてしまった
■山狗
「業」の山狗は鷹野の私兵ではなく、別の人物に買収・懐柔されている可能性がある
山狗を買収しているのは間宮リナ以前の女王感染者と考えられ、山狗には鬼狩柳桜の情報が伝達されている
綿流し当日に富竹と鷹野が祭具殿に侵入したため、盗難を疑い二人を尾行。勘付いた富竹たちは足が付かないように他人のトラックを奪って逃走した
鬼狩柳桜が紛失していることから雛見沢村を捜索。「鬼騙し編」で入江診療所が改装作業を行っていたのはそのためであり、「綿騙し編」では詩音も侵入したため園崎本家でも捜索が行われた
■上位存在
「ひぐらし」の世界において人ならざるもの(魔女と呼ばれる上位存在)たちはアバターとして寄生虫(ウィルス)の姿を借りてニンゲンの脳内に寄生している
(上位魔女のアバターはニンゲンとは限らない。「うみねこ」で魔女ベルンカステルは黒猫をアバターにしている)
羽入の正体は雛見沢症候群の女王感染者に受け継がれる寄生虫であり、似た存在として田村媛命などが挙げられる
梨花の目が赤く光る演出は、恐らく脳内寄生虫(上位存在)に梨花が操られているタイミングで発生している
しかし本来梨花の脳内に寄生していた羽入が消滅している以上、この操り主の正体も羽入(1.0の寄生虫)とは異なる存在である可能性が高い
その寄生虫とは100年をループした古手梨花の人格そのものである
旧作で上位存在に昇格した古手梨花=魔女ベルンカステルが、寄生虫をアバターとして梨花の脳内に寄生していると考えられる
また沙都子の脳内寄生虫の正体は魔女ラムダデルタ(寄生虫自体は田村媛命)、2.0の寄生虫の正体は魔女フェザリーヌ(人格が修復された羽入2.0)であると思われる
■真相は寄生虫の派閥争い?
鉄平はアパートの異臭に気付いておらず、恐らく彼の病状は花粉症などのアレルギー性鼻炎だと思われる
しかし「罪滅し編」の鷹野のスクラップ帳には、雛見沢症候群(1.0)の感染者を検査したところアレルギー反応が見られなかったことが記載されていた
以上から、「業」における昭和58年の盤面では雛見沢症候群(1.0)がほぼ消滅しているという推測が立つ
「神姦し編」では、日本全土のニンゲンが土着の寄生虫である「田村媛命」の眷属(羽の民)に感染していたが、あるとき宇宙より飛来した「羽入」を親とする「角の民」の寄生虫が雛見沢に根付いてしまったというエピソードが語られている
なお「羽の民」は「角の民」よりも弱いため、「羽の民」の感染者にも「角の民」は感染することができる(その逆は不可能)
「業」の盤面は、雛見沢症候群が発生した古代雛見沢の状況を再現したものである
黒幕である「羽入2.0」の目的は女王感染者を乗り継ぎ、それを母体として寄生虫(ウィルス)を複製し、雛見沢住民全員に感染させることである
沙都子に寄生した「田村媛命」は2.0の感染拡大を阻止すべく、女王感染者に対抗するための鬼狩柳桜を持ち出している
梨花に寄生した「フレデリカ寄生虫(仮)あるいは羽入1.0」の寄生虫(ウィルス)も当然「田村媛命(羽の民)」感染者にも寄生できると思われ、2.0はそれを阻止するために女王感染者である梨花を狙っているのである
ひぐらしのなく頃に業 考察 雛見沢症候群2.0(仮)について
■旧作の雛見沢症候群
雛見沢症候群は雛見沢村特有の風土病であり、その研究機関が入江診療所である
雛見沢症候群を発症すると疑心暗鬼に陥り、周囲に対して攻撃的な言動をとるようになる。これが末期症状に至ると殺人や自害などの異常行動に至る
また発症するとリンパ腺(特に首など)に異常な痒みを生じるのが特徴である
旧作では雛見沢症候群の発症者が凶行に至ることで惨劇の要因となっており、これがルールXと呼ばれていた
■雛見沢症候群2.0
「業」の雛見沢症候群は従来のそれと性質が異なっている
雛見沢症候群2.0の発症者は「古手梨花の殺害」を目的として行動するようになる
また旧作のような段階を経ずに、前日まで正常な思考をしていた人物が急激に末期状態まで至る場合がある(ただし旧作にも末期症状を引き起こすH173という薬品は存在していた)
発症者が古手梨花を殺害しようとする動機に共通点はない
逆に言えば、発症者が梨花を殺害する理由は何であっても構わない
魅音 連続怪死事件の黒幕だと確信したため
大石 連続怪死事件の黒幕だと確信したため
茜 雛見沢の鬼の血を絶やすため
公由 生贄にして祟りを鎮めるため
圭一 蛆湧き病(首の痒み)を治療するため
発症者の例外として「鬼騙し編」のレナが挙げられる
「鬼騙し編」のレナは、梨花の殺害を余所に圭一を襲撃したためだ
圭一が襲撃されたのは「鬼騙し編」「祟騙し編」の二つだが、どちらにおいてもフラッシュバックによる断片的な記憶継承が発生している
つまり「雛見沢症候群2.0の発症者の殺害対象は古手梨花個人ではなく記憶継承者である」と言える
「鬼騙し編」のレナは圭一を襲撃したが、返り討ちに遭い死亡する
翌日、古手梨花の死体が発見されるが、ループした梨花が圭一とレナの惨劇を知っている以上、梨花を殺害した犯人はレナではない(梨花と沙都子を殺害後に圭一を襲撃したわけではない)
「鬼騙し編」ではレナの死亡後に、別の発症者が梨花を殺害したと考えるのが妥当である
ちなみに漫画版の「鬼騙し編」では圭一が6月23日に遅刻ではなく欠席しているため、レナの襲撃が24日にズレている(アニメでは23日に襲撃して死亡)
さらに梨花と沙都子の死体発見も一日遅れており、レナの襲撃が一日ズレると、別の発症者による梨花の殺害もズレることが分かる
そして「猫騙し編」での赤坂、茜、公由、圭一発症パターンを見る限りでは、複数の人物が同時に発症しているケースは存在しない
以上から「雛見沢症候群2.0の発症者は常に一人だけである。ただし発症者が死亡した場合は別の人物が発症する」という推測が立つ
これにより「祟騙し編」で圭一を襲撃したのが本当に鉄平であった場合でも、鉄平死亡後に大石が急性発症したのだと考えられる
なお鉄平については薬を処方されている描写があるが、花粉症などのアレルギー性鼻炎だったのではないかという説が唱えられている。鼻炎のためアパートの異臭に気付かなかったのである
しかし本来であれば雛見沢村の住人に花粉症の患者はいない。症候群という寄生虫の影響でアレルギー反応が起こらないためだ
つまり鉄平が花粉症であるというのは、鉄平は雛見沢症候群が完治していることを意味する
また鉄平に限らず、他の雛見沢村住人も雛見沢症候群が完治している可能性も考えられる
であれば「業」の世界は、古手梨花という例外を除いて(理由は不明だが)雛見沢症候群が撲滅された雛見沢なのではないだろうか?
ここで雛見沢症候群2.0の発症者は、旧型の症候群を完全に抹消するため梨花の殺害に至るのではないかと考える。「鬼騙し編」などの圭一が狙われたのも同じ理由で「記憶継承者=旧型雛見沢症候群の感染者」であるからだと思われる
なお旧来の雛見沢症候群の寄生虫は宿主が死亡すると同時に消滅する(そのため研究には生体のサンプルを必要とする)
一方で雛見沢症候群2.0の寄生虫は、宿主が死亡しても別の人物に寄生することで生き延びるものだと思われる。つまり「鬼騙し編」でも宿主であるレナが死亡したため別の人物に寄生して発症させたという仕組みだ
また寄生虫は女王一匹のみで、複数の人物に感染することはない。そのため2.0に感染・発症していない村の住人に花粉症などのアレルギー症状が発生しうるというわけだ
つまり雛見沢症候群2.0の発症者は常に単独で、発症者=女王感染者である
仮に2.0の女王感染者を殺害しても、別の人物に寄生して発症させるため雛見沢村の全員を殺害しなければ意味がない