140字で足りないこと

最近「うみねこのなく頃に」を始めました。

うみねこのなく頃に超絶ネタバレ記事

今回は「うみねこのなく頃に」の犯人の正体、そして人数の謎とかについて説明するよ。

 

 ★結局、うみねこの犯人って誰なんや?

ミステリーにおいてフーダニット(誰が犯人か?)は解くべき謎のひとつ。うみねこ作中では、犯人の明示こそされていませんが、特定は可能になっています。

ここで超絶ネタバレをすると、犯人はベアトリーチェです。

 

★なんやそれ? 結局犯人は魔女なんかいな!?

その通り。

とはいえベアトリーチェは事件の首謀者であり、実行犯は別に存在します。それこそがシナリオごとにランダムで選出される「共犯者」。

ベアトリーチェは黄金の所有者であり、その莫大な資産で親族や使用人を買収し、自らの手駒とするわけです。

 

★なるほどな。しかしそのベアトリーチェってのは何者なんや?

ベアトリーチェの正体についてはEpisode7で語られた通り。

潜水艦でイタリアからやってきたベアトリーチェ・カスティリオーニは金蔵と六軒島を脱出し、二人は子供を設けます。それこそが九羽鳥庵で育てられたベアトリーチェ

そしておよそ二十年後、九羽鳥庵のベアトリーチェは金蔵の子供を身ごもり出産しました。その子供は紆余曲折(九羽鳥庵のベアトリーチェが崖から落ちたり、子供が夏妃に預けられるものの崖から突き落とされたり一命を取り留めたり)を経て使用人・紗音として右代宮家に仕えることになります。それがベアトリーチェの正体といえるでしょう。

 

★つまりベアトリーチェ=紗音ちゃんなんやな?

いいえ、違います。彼女たちは同じニンゲンではありますが、「うみねこ」のシナリオの大部分において彼女たち二人はまったく異なった人物として扱われます。

なぜならこの物語の大部分は「ベアトリーチェのゲーム盤」だからです。

 

ベアトリーチェのゲーム盤? どういうこっちゃ?

作中でも、戦人とベアトが論戦を繰り広げる空間(通称:メタ世界)に対して、事件が繰り広げられる下位世界のことをゲーム盤と呼称していました。

このゲーム盤、元を辿ればベアトリーチェの執筆したメッセージボトルであり、つまり彼女によって創作された物語であるわけです。

問題はこのメッセージボトルがベアトリーチェ私見を交えて記述されたものであるという点。つまり我々が見せられていたのは「彼女の主張に基づいた世界」なわけです。

だから魔法描写が頻繁に登場するわけですね。それこそが魔女側の主張なので。

となると、紗音とベアトリーチェが別人として描写され、別人として扱われる理由もわかりますね?

 

★なるほど、それがベアトリーチェの主張やからやな?

そしてその主張は、ゲーム盤内においては赤き真実で保証することさえできます。なぜなら世界そのものがベアトリーチェによって生み出されているため、彼女の脳内設定が適用されるわけです。

ちなみに嘉音もまた「紗音ーベアトリーチェ」と同じ関係であり、いわば彼らは一人三役とさえ呼べる存在なのですが、ゲーム盤の上では全員がそれぞれ別人として存在しています。

 

★つまり紗音・嘉音・ベアトリーチェが犯人というわけやな!

惜しい。確かに紗音・嘉音として殺人を実行はしますが、あくまで真犯人はベアトリーチェ(名義)であり、他の二人は協力者であると考えるべきでしょう。

なぜならヴァンダイン二十則により「使用人は犯人であってはならない」からです(※原文でのニュアンスは少し異なりますが、「うみねこ」においては使用人が事件の黒幕ではないと解釈すべきです)。

 

★そういえばこいつらが同一人物なら在島者の人数はどうなるんや?

先述した通り、ゲーム盤上で紗音と嘉音は別人であるため、それぞれを1人とカウントします。金蔵は既に死亡しているので合計17人。特に変わりはありません。

 

★あれ? ベアトリーチェはカウントせんのかいな?

在島者の人数はあくまで「人間」に限定されます。ベアトリーチェは「魔女」なので人数にカウントされないわけです。少しズルいですが、そういうものです。

その代わりベアトリーチェは肉体を持たず、殺人の実行犯にはなれません。彼女のできることは幻想として君臨し、親族たちを買収して裏で糸を引くことだけなのです。つまり魔女でありながら、ニンゲンとトリックで事件を遂行しているのです。

 

★それじゃ、Episode6の「17人だ」はどういう意味なん?

Episode6のクライマックスでは、以下のように在島者の人数についての異なる赤き真実が同時に提示されました。

古戸ヱリカの主張「私は六軒島の18人目の人間」

戦人・ベアトリーチェの主張「古戸ヱリカを迎えても17人」

まずヱリカの主張に不審な点はありません。金蔵を除いて17人なのでヱリカは18人目なのは確かです。

では戦人たちの主張はどうでしょうか。一人足りません。この17人の在島者リストが実際には誰になっているのか、下記のとおり一覧にしてみました。

蔵臼、夏妃、朱志香、絵羽、秀吉、譲治、留弗夫、霧江、戦人、楼座、真里亞、源次、熊沢、郷田、南條、ベアトリーチェ、ヱリカ 以上、17人。

 

ベアトリーチェがカウントされてるやん!

そう、これこそが「うみねこ」の裏ルール。第9の晩に至ったゲーム盤において、ベアトリーチェは人間として存在できるのです。

Episode3の南條殺しは、このロジックによりベアトリーチェが実行犯になっています。

Episode6でもベアトとヱリカの論戦中に第九の晩に至ったという記述があり、客室密室に隠れているのは「ベアトリーチェ」なので、ベアトリーチェが人間としてカウントされるというわけです。

一方で、ベアトリーチェ復活と同時に紗音と嘉音は「家具」に格下げされるのではと考えられます(肉体の使用権が喪失するイメージです)。

つまるところ、六軒島の人数というのは17人と16人が重ね合わせの状態にある、ということなのかもしれません。(2020年追記)

 

 

★ゲーム盤の犯人はわかったけど、でも現実では留弗夫と霧江が犯人なんやろ?

留弗夫と霧江は便乗犯であり、本来の事件の首謀者はベアトリーチェなのに変わりはありません。

とはいえ、碑文が解かれたため事件は中断されているので、ベアトリーチェの事件はほぼ未遂に終わっています(仮に彼女が黄金や銃で親族の不和を煽ったとしても、別に買収しているわけではないので「ベアトリーチェのゲーム」という扱いにはなりません)。

もっともミステリーとして出題はベアトリーチェの事件であり、留弗夫と霧江の殺人は「解くべき謎」ではありません。ぶっちゃけ無視しても差し支えはないと思います。

 

今日はここまで。

お題箱の質問回答

44.幾子ってなぜ一なる書を持ってたの?

 Episode8によると、絵羽の日記はウィッチハンターの手を渡り歩いて、最終的に八城幾子の下に来たということになってますね。偶然といえば偶然だし、超常的な力を加味して考えるなら必然だと思います。

 

43.EP2の全裸首輪など、ベアトリーチェの戦人への対応が酷いのはやはり憎さ故なのでしょうか。

 え? あなたは好きな人に全裸首輪プレイさせたくない派ですか?

 

42.EP4で縁寿が船長宅で量産さくたろうを見て「これが魔法なのね」とつぶやき涙を流しますが、この時縁寿は何を察したのでしょうか。「特別なぬいぐるみ」が「特別」ではなかったという事実はネガティブな情報だと感じてしまうのですが、縁寿は感銘を受けていた様子だったのがよく分かりません。

 あれは量産さくたろうという事実そのものよりも、「ネガティブな事実をポジティブに解釈する行為が魔法の正体である」ことに気付いた故のリアクションでしょうね。

 もちろん魔法の素晴らしさに心を打たれたわけではなく、その儚さというか、虚しさに涙が零れたのでしょう。

 

41.EP8漫画版のconfession~などで安田紗代の外見は紗音であるように描かれていましたが、実際の安田紗代の外見は紗音のようなものなのでしょうか? それとも理御のようなものなのでしょうか?

また、安田紗代は戦人にああ言われても、どうして生きのびるという選択肢がなかったんだと思いますか?

 ビジュアルについてはConfessionで描かれた通りだと解釈しています。基本的には紗音として生活していますからね。

 安田紗代が自死を選択したのは恐らく右代宮戦人が碑文を解いていないからですね。だからルールに従って本来の結果を受け入れたにすぎません。戦人を逃がしただけでもかなり運命に抗った方だと僕は思います。

 

40.ep2カノジェシ死亡後の嘉音くんは犯人じゃないのに!って幽霊状態になっている2人の描写の意味って何でしょうか?

 メタ的な話ならプレイヤーに向けたミスリード(ミスリードという言葉を用いると齟齬が生じるけど、まあぶっちゃけ嘉音が実行犯なので…)。

 ただ幻想の物語上では朱志香と嘉音はベアトリーチェに殺されてるので、そういう世界線の彼らだと思えばいいんじゃないでしょうか。

 

39.理御の性別はどちらだと思いますか? また、19年前の男はどのような解釈ですか?

 EP7での理御は性別:猫箱。駒の設定上、男の可能性が50%、女の可能性が50%という重なった状態で存在する人物なのだと思ってます。

 19年前の男は素直に男性だと解釈してますね。

 

38.バトラーとかバトラー大尉ってなんなんですか?戦人の種類何人いるんですか?

 バトラー大尉は右代宮戦人とは似て非なる存在だよ。顔が似てるだけ。

 戦人の種類という話になると、ニンゲン世界の戦人と、魔女(メタ)世界のバトラ(卿)が存在するわけで、まず2種類。そこに幻想存在である黒き戦人を加えて3種類。さらに各ゲーム盤の戦人を別キャラとして分別するとパターンの数だけ増えるかな……。

 

37.魔女になった縁寿はどのEPにでてきますか?
ツイッターで金色の服の魔女縁寿を見て気になったので質問させてもらいました。

 Episode3から縁寿は魔女なんですが、という話はさて置いて。

 金色の服装であればEpisode8の縁寿です。ただし漫画版オリジナルのデザインで原作には出てきません。ちなみに8巻に登場します。

 またPS3版では真実の魔女として紫を基調とした魔女服服デザインがあったり、パチスロ版のCGでも別のデザインが見られたりするので色々と触れてみては。

 

36.ドラノールとヱリカの関係ってEP8であっさり崩れてなんでー!?となったクチなのですが、考えてみれば二人とも、ドラは悪い魔女を狩る仕事が優先ですしヱは残酷な真実の方が大事で結構ドライな関係ってことでいいんでしょうか?

 ドライというか……方向性の違い?

 Episode8の古戸ヱリカは与えられた役割を全うしているだけであり、いわばドラマを演じているような感覚なのでしょう。一方でドラノールは黄金郷の一員として戦っているわけですから、もはや彼女たちは見えている世界の階層が異なっているのかもしれません。とはいえ、お茶会を見る限りでは親交は続いているようで。

 

35.魔法エンドの後の須磨寺霞ってどうなったんでしょうね?完全に縁寿側についた小此木に消された…?

 縁寿が小此木に右代宮グループを託した以上、小此木としてもわざわざ須磨寺家に関わるメリットはないはずです。ただし霞自身は須磨寺家からも厄介に思われているため、須磨寺家内部の抗争で消される可能性は考えられるでしょう。

 

34.ワルギリアは九羽鳥庵のベアトリーチェがいるころから六軒島にいるんですよね。アニメなどでは壺を直したりしましたし。 では、ロノウェはベアトに雇われたような感じだったはずですけど、いつからいるんでしょうか?

 ベアトリーチェが名前を受け継ぎ、魔女となってから召喚されたのがロノウェのはずです。そのため時系列的にはEP3冒頭よりは後でしょうね。

 ちなみに該当のシーンで登場するベアトリーチェは、幻想のキャラクターとしてのベアトリーチェであり、人間として生まれた九羽鳥庵のベアトリーチェとは別物です。九羽鳥庵のベアトリーチェは生まれたときから「ベアトリーチェ」の名前で呼ばれていますので。

 

33.EP4戦人が金蔵に向かって、金蔵の名前は世襲制であるという仮説で、【全人物の中で複数の名を持つ人物は存在しない】という復唱要求をして金蔵が復唱できなくて消えてしまうところがあります。これは別に金蔵の名前は世襲制ではなく、紗音が嘉音と名乗っていることに触れるから復唱できなかったんですかね?

 仰る通り、復唱できないのは金蔵の名前のためではありません。正確には「安田紗代」が「紗音」「嘉音」「ベアトリーチェ」という複数の名前を持つためですね。

 

32.えぇ~今日はね24時になったんですけれどもぉ~、うみねこのなく頃に誰も生き残れませんでした・・・なぁ~にがいけなかったんでしょうかねぇ~

 残念ながら、こういう悲しい結果で、終わりですね……。

 

31.好きなノックス十戒とヴァンダインを何個かあげてください

 そんな好きな食べ物みたいなノリで……。

 ノックスで好きなのは9条「観測者は自分の判断・解釈を主張することが許される」。「うみねこ」の本質に触れる箇所なので好きです。ちなみに原文に出てくる「ワトスン役」というのは「物語の語り手」ということらしいです。推理小説は読んだことがないので分からないんですけど。

 ヴァンダインで好きなのは11則「使用人が犯人であることを禁ず」。巷にあふれる「紗音犯人説」を一刀両断できる切れ味が素敵。ちなみに原文2則には「作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない」とありますが、真犯人であるところの「魔女ベアトリーチェ」は「作者」であると同時に「作中の人物」でもあるので、彼女の語る魔女幻想はこれに抵触しない気がします。

 

30.偽書であるEP3以降はともかく、ヤス自身の手による事前犯行計画書であるEP1やEP2で縁寿が必ず親族会議を欠席しているのはどうしてだと思いますか? 急な体調の悪化が理由なのでヤスがあらかじめ欠席を知っていたとは考えにくいのですが…

 急な体調不良といっても霧江の実家(縁寿の祖父宅)に預けられていたくらいですから、前日や当日に欠席が決まったわけではないと思われます。欠席については絵羽が知っていたくらいなので、源次に伝わっていないわけがありません。

 実際メッセージボトルがどの程度の日数で執筆されたのかは不明ですが、あれらのシナリオが全て縁寿の欠席を前提とした上で書かれているのは間違いないでしょう。というのも、漫画版Episode8の6巻を読んでいただければわかると思いますが、物語のバリエーションとして「縁寿が出席(欠席)するパターン」が存在するわけではなく、そもそも彼女の殺人プロットの構想自体に縁寿が一切関与しないためです。

 安田紗代には縁寿を殺害する動機がありません。心中計画自体が縁寿の欠席を前提としたものであり、逆に言えば縁寿が急に体調を戻して来島するようなことがあれば、彼女は事件を中断したでしょう。それを暗に示しているのがEpisode8のゲーム盤だと考えられます

 

29.漫画版EP8の主張と原作版の真実に関する主張って微妙に違うと個人的に思うのですが、どう考えますか?原作の真実を暴くことの全否定で幸福な幻想を優先する形なのに対して漫画版は真実を読者向けに明かしてしまい右代宮家の真実、罪について向き合う形になったことに起因すると思うのですが。

 Episode8で一貫する主題は「個人の中にある真実」というものだと思います。客観的事実=「赤き真実」がどんなものであれ、縁寿の心の奥に押し込まれていた本当の願い=「彼女の真実」に気付くための物語という部分は原作も漫画版も共通しています。

 作中の「縁寿」の視点でEpisode8を眺めるならば、原作も漫画版も「客観的事実を知って、その上でどう生きるか」ということなので、話の方向性に違いはありません。問題となるのは、やはり仰る通り「漫画版は真実を読者向けに明かしている」という点でしょう。

 そもそも原作は「この物語を、最愛の魔女ベアトリーチェに捧ぐ」で締め括られている通り、「ベアトリーチェ」に宛てた物語だと思われます。つまり「残された縁寿も頑張って生きているから安心して眠っていいよ」というメッセージですね。

 一方で漫画版は、冒頭から「もう一人の大切なあなたのために」という文章で始まっている通り、「縁寿」に宛てた物語だと解釈できるでしょう。ここは恐らくメタ的なニュアンスを含んでいて、縁寿と同様に「うみねこ」の真相を求める読者に向けたシナリオでもあるわけです。

 漫画版において読者は真実を明かされ、作中の縁寿と同じポジションに立たされ、さらに縁寿自身も(原作での彼女と比較して)読者の心情に寄り添った言動をしてくれます。そのため漫画版の読者は原作よりも縁寿に感情移入しやすくなっているはずです(逆に原作はプレイヤーと縁寿を乖離させようと試みていた可能性もあるかもしれません)。

 結論として、原作も漫画版も「真実に対するアプローチ」について、描かれる角度は若干異なるものの、主張自体はそう変わりないと思います。ただ個人的な意見として一言申し上げておきたいのは、原作のEpisode8も「真実を暴くことの全否定」や「幸福な幻想を優先」をしているわけではないのでは、ということです。

 結局、人間の世界においては客観的に(マジョリティによって)掲げられた真実が必ずしも正しいわけではないですし、それが絶対の真実だと保証されるものでもありません。真実の探求も、天草十三の主張するように「自己満足」で事足りる話なわけです。

 縁寿は「自己満足」のために六軒島の真相を追い求めていたわけですが、彼女自身「何を以って満足するか」なんてことは分かっていませんでした。だからこそ戦人は縁寿を第8のゲームに招待して、「家族に戻ってきてほしい」という最初の願いを思い出させようとしたわけです。彼女の「自己満足」のためには「親族たちが生きているかもしれない」という真実が必要だったということですね。これは「幸福な幻想」で現実逃避せよという主張ではなく、自分の本当の願い=「個人の中にある真実」に向き合え、というような話なのだと受け止めています。

 

28.いつまでうみねこやってるんですか?

 誰か私を止めてください。

 

27.小冊子って今でも見れるんですかね…

 過去の小冊子を全てまとめた神本があるらしいっすよ(あの『我らの告白』まで掲載されている!)。

webaction.jp

 

26.EP2の制服ベアトはどういった存在ですか?幻想ですか?  なぜ制服を着てるんでしょうか?

 「制服ベアト」は出題編においては、Episode2とEpisode4に登場します。

 彼女の登場するシチュエーションは、基本的には盤上の人間に目撃されるときに限定されています。Episode2では楼座と真里亞や霧江が目撃し、Episode4で戦人の前に現れた状況でも「制服」を着ていました。つまりあれは「真犯人が変装したときの姿」と考えて差し支えないと思われます。変装の都合でドレスではなく脱着しやすい服装なのではないでしょうか?

 ただしEpisode2の礼拝堂で譲治や郷田の前に登場したときも、原作では「制服」なのですが、メディアミックスでは「ドレス」で描写されていたりとビミョーに曖昧です。

 

25.EP5でベアトの消滅と戦人がベアトのゲームを理解するのがタッチの差なのはなんであのタイミングなんですか? というかなんであのタイミングでベアトは消失してしまったんですか?

 それについては単純なことで、Episode5ではプレイヤーであるメタ戦人が死んでしまい、そのためベアトリーチェの存在する前提条件が崩れて、彼女も消滅してしまったのだと考えられます。戦人が死んだのでベアトは消滅し、そして当の戦人は一度死んでから真相に至ったと、そういう話ですね。

 

24.うみねこ紫の犯人は南條であってますか?  殺人動機はわかりませんが…答えはどこにあるのでしょうか…

 「うみねこ紫」の犯人は南條+共犯者です。それについては第2巻掲載の最終話にて語られています。ただし共犯者が誰なのかは作中では明かされていません。

 というのも読者が共犯者を特定してハガキで回答するというキャンペーンが開催されたのですが、それがどうにも途中で企画倒れしてしまっているようです。本来は企画終了後に、雑誌に解答が掲載される予定だったはずなので、はっきりとした答えは依然として明かされないままの状態です。

 さて、その共犯者ですが園芸倉庫で死んでいる人物が怪しいと思われます。注意点として「うみねこ紫」はEpisode8におけるベルンカステルのゲームとルールが異なっており、「犯人であっても死ぬ」場合があります。

 

23.うみねこのなく頃に翼「勤労感謝の日」にてベアトはワルギリアに老人用。ロノウェには小老用のプレゼントを用意しますがそれって、熊沢に老人用。源次さんに小老用って考えたら胸熱なんですけどあってます?

 そう解釈することもできるでしょう。塗り絵をしている源次はやや想像に難しいですが……。

 

22.理御は死んでしまうの?

 Episode7に登場する理御は、ベルンカステルにより「霧江に殺されるカケラ」から連れて来られた存在なので、「あの理御」は死にます。しかし別のカケラの理御なら殺されることもないかもしれません。

 

21.無限の魔女は、同じ人間を無限回数殺すって事は、何回生き返っても最後は殺されるって事ですよね…戦人は家族を取り戻して縁寿のもとに帰るって言ってるけど無理なんじゃ…

 結論から言うと可能です。

 本来、六軒島の事件のカケラは「一なる真実」しか存在しません。しかしベアトリーチェの「無限の魔法」によって、メッセージボトル=事件プロットの数だけカケラの数は増殖していきます。こうして「うみねこ」における無数の平行世界は発生するわけです。「無限の魔女」の本質は、単にカケラのパターンを増やす(色々な筋書きでの事件を生み出す)ことであり、最終的に同じ結果になる(結局のところ戦人は殺される運命)とすれば、それは別の要因によるものです。

 別の要因とは「絶対の魔法」です。そもそもベアトリーチェの「無限の魔法」はラムダデルタとの契約によって授かったものですが、それはベアトリーチェに「時限爆弾を作動させて島ごと猫箱に閉ざす」という「絶対の意思」があったからに他なりません。

 「一人を必ず殺す」とは、全ての平行世界において、一カケラの例外もなく必ず特定の人物を殺すという意味であり、すなわち全てのカケラで同じ選択をするということです。ラムダデルタの保証する「絶対の事象」によってベアトリーチェの魔法大系は成立しているわけです。

 しかしこの絶対の事象が示すのは、あくまで「地下爆薬の爆発」であって「親族全員の死亡」ではありません。実際にEpisode3の絵羽は生還しているので。……ということは、「爆発から全員が難を逃れる」という可能性は残されているはずです。

 さて、「ではメタ世界の戦人はどうやって縁寿のところに帰るのか」という話を始めましょう。実は「ひぐらし」で古手梨花ベルンカステル)が当たり前のようにやっているのですが、「メタ世界=魔女階層」から「カケラ世界=現実階層」へのダイブするという行為が「うみねこ」でも可能です。ちなみに作中における縁寿(エンジェ)の世界ループも同じ原理によって行われています。つまり、メタ世界でベアトリーチェとの戦いに勝利さえしてしまえば、メタ戦人も現実のレイヤーに戻ることができるというロジックは存在するのです。

 さらにベアトリーチェに勝利する=彼女の事件の謎を解くということは、Episode5のようにゲームマスターとしての権限を獲得できるということであり、それはゲーム盤の内容を任意に改変できるということです。そして親族たちが生還するカケラを紡ぎ、その世界にダイブすれば、メタ戦人は無事に縁寿のもとに帰ることができるというわけです。

 ただし、「うみねこ」本編の戦人は”あえて”それを実行していません。 

 

20.シエスタ兵達の戦闘分担がよくわかりません、教えてください

 そんなあなたに小冊子『Arigato for 556』がオススメ。

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 556は分隊火力支援。火力と弾幕で敵の攻撃を抑制し、45と410が精密狙撃を行えるようにサポートします。

 

19.ひぐらし祭囃子編ラストに出てくる、美代子に両親と共に生きる道を示してあげた、大人梨花はどういう存在なのでしょうか?

 ひぐらしは原作未プレイです(3度目)。

 「大人梨花」。その姿はアニメで見た記憶がありますが、本当によく分からないので以下は妄想としてお聞きください。

 恐らくはベルンカステルに類似した存在でしょう。田無美代子の時代に出現している時点で、作中現実の時間軸を無視できる階層の「魔女」であることは間違いありません。

 では彼女は「うみねこ」のベルンカステルと同一人物なのか、という話になりますが、個人的には異なる存在であると考えます。なぜならビジュアルがあまりにも異なるためです。「うみねこ」のベルンカステルが依然として少女の姿なままなのに対して、「ひぐらし」の大人梨花は、その呼び名の示す通り大人の姿をしています。ということは彼女は、「大人に至ったカケラの古手梨花」から乖離した魔女なのかもしれません。

 

18.うみねこ登場人物でLong28さんの好きな外見のキャラ(男女まぜこぜ)とその理由を10人ほど教えてほしいです。

 ガートルード:クールビューティの体現。睫毛が長そうなところが最高。

 黒き戦人:主人公のカラバリはシンプルに燃える。夜の街みたいな色調がいいぞ。

 シエスタ00:モッフリした髪に埋もれたい。あと眼帯うさ耳というてんこもり。

 紗音:夏海ケイ先生による目の輪郭が素晴らしく素敵。芯の強さと美しさ。

 ゼパル:モノクロ調のファッションがクール。紫のアクセントもセンスがいい。

 八城幾子:夏海ケイ先生の作画に胸キュン。メガネはやばい。

 古戸ヱリカ:キュート&エレガント。ブルーとピンクの配色がとてもよい。

 ベルンカステル:比較的シンプルなロリータに澱んだ瞳のコントラストが好き。

 

 呂ノ上源次:イケメンの延長線上にある無骨な渋さがたまらない。

 

17.フラウロスというのは何者なのでしょうか

 小冊子「我らの告白」で登場した七十二柱の悪魔がフラウロスで、猫耳がキュートな女の子の姿をしています。

 さて、ベアトリーチェの眷属でも、ロノウェ、ガァプ、七姉妹などは、人物や現象、あるいはオカルトグッズなどという依り代をモデルに生み出されたキャラクターですが、フラウロスの場合は、「ベアトリーチェが新キャラを登場させようとして設定が組まれた存在」なので、「キャラクターの発案」が先行しているという特殊なパターンだと思われます。つまり彼女に依り代やモデルは特にありません。

 そういえば彼女には「ベアトリーチェと敵対する魔女」の眷属として召喚されていた、という面白そうなエピソードがあります。しかしそもそも「敵対する魔女」って誰なんだろう……。

 

16.long氏的にはヱリカの生前の彼氏は浮気してたと思いますか?

 浮気していたんじゃないですかね。恐らくヱリカは元カレへの詰問を通じて「他人の隠し事を暴く行為」への快楽を覚えてしまったわけですから、元カレにとって後ろめたい秘密は少なからずあったはずだと考えています。

 

15.うみねこのキャラで古戸ヱリカは悪役として登場したように思うのですが、ファンの間ではかなりの人気キャラのように思います。ファンのみなさんは、あのヱリカというキャラのどんな所に夢中になっているのでしょうか?性格が悪くて悪女だと思ったのですが……

 かわいいだろう?

 まあ、ヒール役というのは意外と人気が出るものです。さらに古戸ヱリカはEpisode5、Episode6を象徴する強烈なキャラクターなので、ファンが増えるのも当然と言えるでしょう。また魔法を肯定する方向に話が展開する「散」以降のシナリオにおいて、「謎を暴く側」の代弁者のようなポジションを確立しているのも彼女の強みです。

 ぶっちゃけ「うみねこ」なんてプレイしてる読者は、どこかしら性格が歪んでいる人が多い気がしますので、ああいう性格の悪ゥい娘にときめいてしまうのではないでしょうか。サドっ気があって調子に乗っちゃうクセに、根本的にはいじめられっこ体質なのとか、よくないですか?

 

14.子供時代の戦人は推理小説について語るくらいの小説好きなのに、EP1の戦人は霧江さんに教えてもらうまで、推理のことが頭にないのはどういうことなんでしょうか?

 子供の頃に夢中になっていたものは意外と忘れてしまうものです。特に戦人の場合は家庭環境が激変していますから、推理小説から離れしていてもおかしくはないでしょう。ただ、Episode5以降は読書家という側面が強調されているので、「推理マニアに探偵が務まるとは限らない」ということなのかもしれません。人が死んでんねんで!

 

13.ヤスってなんなの?

 「ヤス」はEpisode7のクレルの告白に登場するキャラクターです。このクレルの告白は、語り手(クレル=安田紗代)の主観で脚色された物語です。

 クレルの1976年において「紗音」とは、使用人としての理想を体現するイマジナリーフレンドでした。そのため「安田紗代」という一人のニンゲンから、「紗音」というキャラクターを乖離させる必要があります。そこで生み出されたのが「ヤス」という駒でした。

 実際の六軒島においては、安田紗代こそが、ヤスであり、紗音であったはずです。しかしクレルの内面世界では、「ヤス」と「紗音」は別存在であったため、Episode7でも別個の存在として描写されています。

 ちなみに、11月29日はファミコンソフト「ポートピア連続殺人事件」の発売日です。

 

12.ヱリカが戦人に指輪をつけるシーンがとても卑猥に思うんですけど、私だけでしょうか…
それとも指輪は何かいやらしいものの例えで本当は、えっちなやつなんでしょうか…

 セックスの暗喩です、たぶん。

 それはそうとして、該当の場面をバイノーラル音声で聞きたくないです? 僕は聞きたい。

 

11.ベルンカステルはどうやって生まれたのかが疑問です。

どこかのカケラの古手梨花がループを繰り返すうちに壊れてしまいベルンカステルになったのでしょうか?(古手梨花複数説)

それとも、古手梨花は1人でずっとループする間に、悪い心が抽出されてベルンになったのでしょうか?(古手梨花本体は1人説)

 最初に申し上げておきますが、「ひぐらし」は原作未プレイです。

 本題。「羽入」というゲームマスターの力によって、「ひぐらし」の古手梨花は雛見沢をループすることになります。ただし「なく頃に」シリーズにおいては「カケラ世界」という概念があり、数多の平行世界が存在するという世界観となっています。つまり古手梨花が同じ世界をループしているわけではなく、異なる世界を無数に渡り歩いていると考えた方が妥当でしょう。ギャルゲの異なるルートを周回プレイしているようなものです。

 この無数の「カケラ世界」を俯瞰できるメタ階層が、「なく頃に」における「魔女階層」というものであり、ベルンカステルやラムダデルタは魔女階層の存在です。

 さて、「古手梨花」は羽入によって数多の平行世界を体験しますが、それは「メタプレイヤーとしての古手梨花」であって、本来現実に生きていたであろう「古手梨花」とは異なる存在だというのが感覚的に理解できると思います。それは「ループしている古手梨花」が「元々そこにいた古手梨花」の意識を乗っ取っているようなものです。

 恐らく、この「ループしている古手梨花」こそがベルンカステルの正体だと思われます。無数のループを繰り返すことで人格が変容したのでしょう。

 ただ僕は「賽殺し編」の内容をほとんど知らないので、読了後には考えがコロっと変わるかもしれません。とりあえず現時点での解釈ということでお願いいたします。

  

10.十八を拾いともに生活した幾子と、魔法ENDで寿ゆかりと待ち合わせの際十八に連れ添った幾子の外見が同じ理由について、どうお考えですか。

 「魔女は老けぬものです」

 上記は漫画版で追加された台詞ですが、実はジョークというわけでもなく、まさにそれこそが事実としての回答なのだと考えています。「八城幾子」という人物は上位魔女であるフェザリーヌのアバター、あるいは作中現実世界における姿であり、そのため外見年齢が変わらないのではないでしょうか。ベルンカステルアバターである黒猫が不老なのとロジックは同じでしょうね。

 

9.ひぐらしの羽入とうみねこのフェザリーヌはどういう関係性なのですか?

 実は「ひぐらし」は原作未プレイでそこまで読み込んでいないので、ボンヤリとした回答になってしまいますが、ご了承ください。

 さて、本題ですが、「羽入」=「造物主フェザリーヌの魔女階層におけるアバター」だと思われます。

 そもそも「フェザリーヌ」とは何者なのでしょうか。Episode8では彼女は「魔女の域を極めた結果、造物主の階層にまで達し、触れてはならない境地に至ったために死の病に没した」とあります。

 これを理解するには、作中世界の階層構造を知る必要があるでしょう。基本的にうみねこ世界は「現実階層魔女階層造物主階層」という3つの階層で構築されています。右側に進むほど、より上位の階層となり、我々プレイヤーとの距離が近くなります。

 現実階層というのは、作中における人間たちの世界です。六軒島で事件が起こる1986年、縁寿が真相を追い求める1998年、八城十八と寿ゆかりが再開する数十年後まで含めて、この階層です。

 魔女階層というのは、いわゆるメタ世界。戦人とベアトリーチェが対戦する喫茶室や、黄金郷、ベルンカステルやラムダデルタたちが存在する世界が、この階層に該当します。この階層は作中現実世界に対して、常にメタ的です。

 造物主階層というのは、魔女階層よりも上位の階層です。つまり、この造物主の領域にいるのは、「我々プレイヤーと限りなく近しい存在」だと考えられます。あまりにもメタな階層のため、もはや「うみねこのなく頃に」という物語の内側には存在しない領域であり、そこに住まう魔女たちも(物語に描かれない以上は)プレイヤーにとって不可視の存在となります。

 この造物主に至ったフェザリーヌは「ほぼ竜騎士07」と呼んでもいいレベルの存在です。「ひぐらしのなく頃に」の作者はフェザリーヌである、と考えてもいいでしょう。(余談ですが、「うみねこのなく頃に」は、造物主階層に至った魔術師バトラによって編纂された、とするのが僕の解釈です。)

 さてさて、ところが「うみねこ」におけるフェザリーヌは、ベルンカステルたちと同じ魔女階層に姿を現し、物語の登場人物として話を盛り上げてくれます。実は、これこそが造物主の階層から、魔女の階層に「生還」したということなのだと思われます(作者との同化から、再び一つのキャラクターへと分離した)。

 つまり「ひぐらし」においてフェザリーヌは造物主階層に位置し、作者と同一の存在だったが、「うみねこ」では物語の登場人物としてランクダウンした、ということでしょう。そのため「ひぐらし」物語の内部にフェザリーヌは登場しませんが、「うみねこ」ではフェザリーヌは可視化されたキャラクターとして存在します。

 では「羽入」は何者なのか。彼女が「ひぐらし」の登場人物である以上、造物主領域の存在でないことは確かです。しかしながら「ひぐらし」現実階層の雛見沢においては、超常的な存在(オヤシロさま)として君臨しています。

 つまり、「羽入」はベルンカステルのような魔女階層の上位魔女だったのです。鬼隠し編綿流し編といった、それぞれの平行世界をカケラとして認識できることからもそれは明らかでしょう。

 魔女階層は造物主階層よりも下位の世界ですから、「ひぐらし」において造物主フェザリーヌが自ら物語に登場するために生み出したアバターが羽入だったと考えると、割と納得がいきそうです。もっとも羽入は角(記憶装置)にダメージを受けたことで人格変容を起こしており、キャラクターとしてはフェザリーヌとは似ても似つかぬ存在となっていました(このあたりはもう少し深く考えると面白そうです)。

 

8.私は…だぁれ…?

 いや、誰だよ。

 

7.海賊みたいな格好のヱリカはどこで出てきますか?

 Episode8です。原作では立ち絵差分がありませんが、PS3版だと海賊帽子を被った立ち絵が表示されます。もちろん夏海ケイ先生の漫画版でもちゃんと海賊帽子なので要チェック。また黄金夢想曲CROSSではSP乱舞技のカットインが海賊帽子ヱリカですね。

 

6.EP5でヱリカが隠し黄金を発見するが、黄金の所有権を放棄する。バトラに譲る。そして裁判でバトラに黄金の真実を使われてイーブンになるじゃないですか。
あれってヱリカが隠し黄金の所有権を主張して半分でももらってれば、黄金の真実で負けることはなかったってことですかね?

 ヱリカが黄金を半分所有していて、それにより親族の買収を行えていれば、そもそも黄金の真実が発動しないので、戦人はドラノールには勝てません。

 「提示された死体を金蔵であると認める」ということは蔵臼・夏妃以外の親族にとっては有利なことなので、あの場においては夏妃が金蔵の死を認めるかどうかによって、黄金の真実の発動が左右されるはずです。

 であれば、夏妃さえ買収してしまえば、黄金の真実を発動することができるわけですが、逆にヱリカがより条件のいいカタチで親族を買収していた場合、「提示された死体を絶対に金蔵とは認めない」立場のグループが形成されてしまいます。その場合だと「場の全員の承認」を得られないわけですから、黄金の真実は発動しません。

 もっともEpisode5ではゲーム盤のルールが根本から大きく変更されており、碑文を解いたヱリカに黄金が継承されるかどうか、疑問を挟む余地はあるでしょう。

 真犯人である「19年前の男」にとって、古戸ヱリカの存在はイレギュラーです。右代宮戦人が碑文を解いて当主を継承するというイベントは、あらかじめ仕組まれていたシナリオなのかもしれません。

 

5.EP7で語られる金蔵とベアトリーチェの下からの脱出は真実なのでしょうか?

 あくまでも金蔵が語る彼の真実なので、赤き真実での保証はされません。

 そもそも観劇者権限による「観劇」とは、「登場人物の主観に基づいた真実」を強制的に語らせるという行為だと思われます。

 たとえばEpisode7で語られるクレルの告白は、彼女の主観に基づいた物語です。そのためイマジナリーフレンドとしての紗音や、ベアトリーチェ、ガァプなどが登場します。金蔵の回想もこれと同じことです。

 しかしクレルのハラワタにおいて、金蔵が黄金の略奪を提案したと思しき場面が描写されます。原作では赤色のフィルター効果が掛かっており、この演出を上位世界による真実の保証だと解釈するならば、こちらが「事実」であると考えるのが妥当でしょう。

 

4.縁寿は結局飛び降り自殺で死んだんですか?

 自殺か他殺か、はたまた事故かはさておき、縁寿がビルから落下して死亡したのは間違いないです。

 しかし縁寿(正確にはエンジェ・ベアトリーチェ)はベルンカステルの介入により、何度も1998年をループしています。数多の平行世界のカケラにおいては、Episode4のように天草を引き連れて六軒島まで旅をするパターンもあるので、必ずしもビルの飛び降りで死んでいるわけではなさそうです。

 「結局」の話をすると、Episode8の魔法エンドで寿ゆかりとして活躍している縁寿は死んでいませんし、手品エンドで天草を殺害した縁寿も、少なくとも飛び降りでは死んではいません。

 しかし彼女はもはや「右代宮縁寿」ではなく、魔女たちとの戦いでループを繰り返した魔女の「エンジェ」です。であれば「右代宮縁寿」は、結局飛び降り自殺で死んでいたのかもしれません。

 

3.魔法エンドが好きですか?手品エンドが好きですか?

 魔法エンドが好きです。でも象さんの方がもっと好きです。

 余談ですが、手品エンドはもっと内容が濃ければなあ、と思います。並列するエンディングとしては、やはり、ちょっと物足りない。

 しかし手品ルートは、縁寿が航海者(ベルンカステルのような上位魔女)となることを暗示したシナリオだと(勝手に)思ってるので、彼女が次回作に登場する可能性に期待していきたいところ。

 

2.質問なんですけれど 「性善説」といううみねこのキャラソン?イメージソング?がありまして、ベルンが誰かに向けて歌ったものだと思うんですけど、その誰かがわからないんです。本編の考察とかではないですが、気になってしょうがないので意見を聞かせてもらいたいです。お願いします。

 特定のキャラクターに向けたものではなく、不特定のプレイヤー(つまり我々)に対する歌であるように感じますね。

 ただ、このイメージソング自体、ベルンカステルが本心を曝け出して歌っている……というよりは、あくまで第三者ベルンカステル性善説に基づいて解釈したものだと考えています。

 

1. ヱリカのツインテールはどうなってるんですか

 夏海ケイ先生のありがたいツイートを見てくれ。

 

 

その他、うみねこの質問がございましたら下記までお願いいたします。

(随時、こちらの記事にて回答していきます)

Long28さんのお題箱

「うみねこのなく頃に」はなぜ真相を明かさないのか

 今年で10周年を迎える「うみねこ」。

 その内容については、やや否定意見の目立つゲームではあるが、なぜそんなことになっているのかといえば「作中で真相が明かされないから」である。

 

 たまに見かけるのは「読者に真相を当てられたので作者が逃げた」という推測だが、それはかなり的外れだ。後発のメディアミックスである漫画版では、かなり詳細な解答が提示されたが、原作ゲームをリアルタイムで追い掛けていた当時に、その解答をズバリ当てていた読者はかなり少ないように記憶している。

 具体例を挙げるならば、通称「南條殺し」と呼ばれる謎で、これはEpisode3に出題され、ゲーム通しての屈指の問題であるが、原作ゲーム完結時においても作者の想定解に至れている読者は少数派だったように記憶している(ただし僕の観測範囲が2ちゃんねるに偏っているため、その他の公式掲示板やmixi等ではどうだったか分かりません)。
 
 「作者が真相を用意していなかったのでは」という推測もある。これについても、後発の漫画版で整合性の取れた解答が提示されているため、間違いだと考えられる。
 まあ、たとえば「原作では用意していない真相を漫画版までに取り繕った」というような邪推ができないわけでもないが、それは連載作品である以上は原作ゲームで真相を明かしていたとしても猶予期間の長短しか変わらないので、そう思うならそう思うしかない。

 

 


 さて、個人的には、かなり隙のない作品だと信じ込んでいる「うみねこ」なのだが、にもかかわらず、作者は真相を提示しなかった。実際には根本のトリックは種明かししているのだが、やや不親切な解答編であったことは否めない。
  また「うみねこ」は、その独特の世界観から「実際に何が起こったのか?が曖昧なまま終わる物語である。

 というのもEpisode1からEpisode6にかけて、「ひぐらし」のようなパラレルワールドの物語が展開されるのだが、それらが実は全て作中登場人物たちの書いた原稿の上での話、つまり劇中劇であったことが明かされるのだ。
 Episode7以降については、その内容が作中の原稿なのかどうかすらも明かされないので、「我々は何を読まされているのか?」という感覚に陥ることだろう。

 実はこの部分についても大きな誤解が生じていると感じていて、基本的にはうみねこ」も「ひぐらし」と同様にパラレルワールドと考えている。ただ「ひぐらし」よりもメタ構造が明瞭に描写されている分、"いかにも劇中劇っぽく"見えてしまうところはある。このあたりの詳細を語ると記事が一つ書けてしまうので泣く泣くカットします。

 

 ここからが本題。「うみねこ」はなぜ真相を明かさないのか、についてだが、これは作者が現実に即したミステリーを書こうとしたからではないかと考えている。
 いや、「うみねこ」の物語がファンタジー要素が強いのは確かだ。しかし、その骨子に当たる部分は、かなりリアルなのだ。
 
 たとえば「うみねこ」で展開される事件において、トリックの肝となるのは「登場人物を買収して共犯者にし、犯人側に都合のいい証言をさせる」である。ここさえ理解してしまえば8割の謎は解けてしまうほどだ。
 この「買収&口裏合わせ」のトリック。古典的な糸や紐を使用した仕掛けよりも、よほど現実的に不可能犯罪を行えてしまう。というか現実に迷宮入りとなった事件の何割かはこんな感じなのかもしれない。

 

 では「真相が明かされない」。これについてはどうか。
 現実世界において、なんらかの事件が起これば、警察が捜査し、犯人が捕まり、裁判によって罪状が確定することだろう。しかし、そこまでのプロセスを経て至った真実というのは、あくまで多くの人間たちによる地道な努力による推測の積み重ねでしかなく、世界の上位存在(=神)から唯一無二の真実だと保証されるものではない。もしも神によって事件の真相が提示されるなら冤罪という概念は存在しないだろう(とはいえEpisode5では夏妃が冤罪に掛けられたわけだが。まあ神様にも色々いるので……)。

 

 だからこそ作者である竜騎士07は、「うみねこ」で真相を明かさなかったし、作中現実の六軒島で何が起こったのかも曖昧なまま、物語の幕を閉じたのだろうと思われる。
 それを作者が上位存在である魔女たちの口を借りて保証させてしまえば、それはフィクションとしてのミステリーであり、作者の描こうとしたリアルなミステリーとして成立しなくなってしまうのだ。

 

 


 「うみねこ」では「赤き真実」というギミックがあり、これは絶対の真実と保証される文章が赤色で表示されるというものである。しかしこれは作中において、殺人事件の物語を俯瞰する魔女にしか使えない。

 この魔女たちは通称「メタ世界」と呼ばれる階層の存在であり、事件が起きる作中現実よりも一歩メタな存在である。これは作者が作品に対して絶対性を振りかざしていることと同じ構造だ(もっとも作者の絶対性が保証されるのは作品内に記述されたテクストだけで、作外での発言などはそうでもないと思っています。恋愛経験がなくても「うみねこ」は読めるよ
 
 一方で、「黄金の真実」というギミックがEpisode5になって登場する。これはEisode8で種明かしされるが、その場にいる登場人物全員の総意が黄金色(実際には黄色)で表示されるというものだ。

 たとえば二人きりの空間で手品を披露し、その両者が「これは魔法だ」と主張すれば、その主張が黄金の真実となる。尖った表現をすれば「全員が信じた嘘は真実になる」を体現したギミックだと言ってもいいだろう。

 かつて天動説が支持されていた時代、太陽が地球の周囲を回っていたというのは、当時における黄金の真実だ。そして現代では、地球が太陽の周囲を回っているとされているが、これも残念なことに黄金の真実でしかない。なぜなら上位存在によって、地動説の信憑性が保障されているわけではないからだ。
 つまり「黄金の真実」とは、人間たちが上位存在の保証を受けず、もっともらしく紡いだ真実のことだ。
 「黄金の真実」というワードはダブルミーニングで、黄金によって買収して証言させた真実という意味合いも含ませている。ゲームマスターが「黄金の真実」を使用できるのは、六軒島において黄金を所持していて登場人物を買収できる立場だからだ。

 

 Episode5以降においては「赤き真実」を「黄金の真実」が打ち負かす場面が何度か登場する。これは「うみねこ」の着地点を象徴するような描写で、これは結局のところ、上位存在である神様が絶対の真相を提示しようとも、それを受け止める人間たちがそれを拒否するならば、人類全員の総意である「黄金の真実」が「赤き真実」に打ち勝つことを示しているのではないか。

 

 


 ちなみに、この記事の終盤になって補足するのもどうかと思うが、うみねこ」には「地の文が嘘だらけで信用できない」という意見もある。
 実際、探偵役である人物の主観描写以外は、事件を撹乱するようなものであることがほとんどだ。これは「場にいる全員が承諾した真実は地の文で語られる」というギミックが用いられており、共犯者しかいない場面においてはトンデモ魔法描写がウンザリするほどに出現する
 ただこれも、考えようによってはリアリティのある話だと感じていて、我々は世界の何処かで事件が起きたとして、それを自分の目で見て耳で聞くわけではなく、なんらかのメディアを通じて把握するしかない。ただメディアによって伝搬される情報は、第三者の主観でフィルタリングされたものだ。同じ政治の話題でも、右派と左派のメディアでは報じ方が全く異なるように、自分が直接に見聞きしたもの以外は、大なり小なり誰かにとって都合のいい情報に歪められている。うみねこ」は、現実世界における情報というものの有様をやや極端に描いているに過ぎないのだ。

 


 さて、長々と書き散らしたところではあるが、つまりうみねこ」はなぜ真相を明かさないのか、というのは、作者の竜騎士07が、現実世界と同じような世界観のミステリーが描きたかったからだと、僕は考えている。
 もちろん、明快な解答を期待していた読者には肩透かしだろうし、面白くないと感じることを否定するつもりはない。しかしこういうオチだからこそ僕は「うみねこ」を支持するし、未読の人々には一度読んでみてほしいと思っている。