ひぐらしのなく頃に フェザリーヌたちの裏設定考察と「業」の勝利条件予想
「ひぐらし」「うみねこ」のネタバレを含みます。ご注意ください。
■前提
「ひぐらし」「うみねこ」に直接的な繋がりはない。雛見沢と六軒島はまったく別の世界の話である。
「ひぐらし」の世界にベアトリーチェは存在しないし、「うみねこ」の世界に羽入は存在しない(小此木のように、似て非なる人物はいるかもしれない)。
ただし「なく頃に」シリーズにおいて上層世界は地続きに存在する。
ベルンカステルやラムダデルタ、フェザリーヌは「ひぐらし」「うみねこ」に共通して存在する高位魔女(航海者)である。
ベルンカステルは「ひぐらし」の古手梨花から派生した魔女であり、ラムダデルタは「ひぐらし」で鷹野を駒にしていた魔女である。
またフェザリーヌは記憶装置のダメージによって人格変容を来たし、羽入が誕生した。
■ベルンカステルの誕生
「ひぐらし」ではフェザリーヌがGM(ゲームマスター)を務めていたが、ロジックエラーに陥りゲーム盤を途中で放棄する。
フェザリーヌは、ロジックエラーの修正を駒であった古手梨花(のちのベルンカステル)に押し付け、自身は傍観に徹した。
結果、古手梨花は長いループの果てに奇跡的な出目を得る。それによりロジックエラーは解消され、古手梨花は奇跡の魔女の称号を得た。
これが奇跡の魔女ベルンカステルの誕生である。
※ロジックエラーとはゲームの辻褄が合わなくなったことを意味する。たとえば、「古手梨花の死亡」によって勝利フラグが立つゲームで、「古手梨花の生存」が勝利条件になっていると辻褄が合わないためロジックエラーとなる。
■「ひぐらし」の羽入が無能な理由
「ひぐらし」のGMはフェザリーヌである。
神姦し編でも説明された通り、羽入の正体は雛見沢症候群そのものであり、女王感染者である古手梨花は駒である。
雛見沢村は全員が雛見沢症候群に罹患しており、仮に羽入が症候群の親玉であるなら、彼女がゲーム盤の支配者であることは不自然ではなく、フェザリーヌがGMなのも当然であると言える。
上層世界の視点を抜きにしても、雛見沢症候群を制したものが雛見沢というゲーム盤の支配者なのである。
しかし、実際「ひぐらし」のシナリオで羽入は症候群をコントロールできていない。
神姦し編では羽入の力で末期発症者を鎮静化していたが、祭囃し編までの彼女にそんな能力はなかった。
これは本来GMであったフェザリーヌがロジックエラーに陥り、GMの座を降りたためだと考えられる。
■ラムダデルタはプレイヤー? GM?
「ひぐらし」のGMはフェザリーヌであり、対するラムダデルタはプレイヤーの立ち位置であった。
「うみねこ」で喩えると、フェザリーヌがベアト(祟り・オカルト側プレイヤーにしてGM)であり、ラムダデルタが戦人(ニンゲン側プレイヤー)である。
しかし、フェザリーヌがロジックエラーに陥ったことに乗じて、ラムダデルタは「ひぐらし」GMの座を奪い取ったのではないかと考えられる。
そう推測する根拠が「H173」の存在である。
H173は人為的に雛見沢症候群末期症状を発症させる薬物である。これは、数多のシナリオにおける富竹の死因である。
つまりH173を使用できる鷹野は、雛見沢症候群を自由に発症させられる立場にあり、羽入に代わって雛見沢症候群の支配者となっているのである。
つまり、「ひぐらし」は本来、
フェザリーヌ(GM) VS ラムダデルタ(プレイヤー)
であったが、フェザリーヌがロジックエラーに陥りゲーム盤を放棄、それに乗じてGM権限をラムダデルタが継承したことで、
ベルンカステル(プレイヤー) VS ラムダデルタ(GM)
という立ち位置に変化しているのである。
我々の知る「ひぐらし」の物語は後者の構図で行われたゲームでしかない。
■「うみねこ」EP6との類似点
「うみねこ」EP6では、GMであるバトラがロジックエラーに陥り、対戦プレイヤーのヱリカがGM権限を奪取するも、バトラの駒である雛ベアトリーチェがロジックエラーを解消してゲーム盤を取り戻す…というシナリオが描かれる。
バトラがロジックエラーに陥るのは、「ひぐらし」でのフェザリーヌと同じ。
ヱリカがゲーム盤の領主の座を奪うのは、「ひぐらし」でのラムダデルタと同じ。
雛ベアトがロジックエラーを解消するのは、「ひぐらし」でのベルンカステルと同じ。
つまり、「うみねこ」EP6のシナリオは「ひぐらし」裏設定の解答編となっているのである。
■「ひぐらし業」に向けたヒント
「うみねこ」EP6のシナリオから推測すると、「ひぐらし」のロジックエラーはベルンカステルが解消し、そしてフェザリーヌがゲーム盤を取り戻したことになる。
そのため「ひぐらし業」ではフェザリーヌがGMを務めており、仮にラムダデルタがゲームに参加していても、あくまでプレイヤーの立場である。
それは、ラムダデルタが引き続き鷹野を駒にしていたとしても、彼女が雛見沢症候群を支配する立場にないということを意味する。
つまり「ひぐらし業」ではH173が鷹野の手中に存在しない。
富竹が喉を掻き毟って死ななかったのは、そういうことである。
■予想 前原圭一はラムダデルタの駒?
H173は鷹野の手にはないが、ゲーム盤から存在が消失しているとは限らない。
仮にH173、それに類するものを手に入れたなら、雛見沢症候群を支配する立場になれる。
鬼騙し編の第一話では、魅音が「宝探し」と称してマジックペンを探させる部活を開催した。
マジックペンは注射器の暗喩として機能する。
また魅音は宝探しゲームのGMである。
この部活は、GMが注射器=H173を盤上に隠しているということのメタファーであると考えられる。
ちなみに宝探しゲームでは沙都子が勝利し、マジックペンを手に入れた。
そこから鬼騙し編では、沙都子がH173を手に入れ、それが梨花と沙都子の死因となった可能性が考えられる。
また、宝探しの部活ではGMの魅音が罰ゲームを受けるための特別ルールとして、圭一が勝利したら魅音にラクガキできるというものが設定されている。
つまり、圭一にH173を見つけさせることが、GMであるフェザリーヌを打倒する方法なのではないだろうか?
前原圭一は、ラムダデルタ(フェザリーヌの対戦相手)側のキーパーソン、あるいはキングの駒なのかもしれない。
だからこそ鬼騙し編ではレナが発症して圭一を襲いかかったとも推測できる。
ルールXによる発症者はフェザリーヌの駒となり凶行に至るからだ。
恐らく、綿騙し編以降も圭一が発症者に命を狙われる展開が発生する。これは偶然ではなく、フェザリーヌ側が意図的に仕組んだ指し手である。