ひぐらしのなく頃に業 「綿騙し編」時点での考察
まずはチェス盤を見渡しなさい。
そして駒の動きと役割に気付きなさい。
―――ベルンカステル
■前提 反転ルールXYZ
「業」のゲーム盤は雛見沢の惨劇を生み出すルールが反転している
ルールX 雛見沢症候群による凶行。信頼による惨劇
ルールY 富竹の生存(行方不明)
ルールZ 園崎ブラフの機能不全。雛見沢、特に古手家への不信
■前提 雛見沢症候群によるフラッシュバック
「業」の雛見沢症候群は、異なる世界の記憶がフラッシュバックする機能を持つ。また
高レベルの発症に至ると記憶が完全に混濁する
■前提 フェザリーヌとラムダデルタ
「業」のゲーム盤のゲームマスターはフェザリーヌであり、その対戦相手はラムダデルタである
フェザリーヌ=オヤシロさまは雛見沢症候群の長であり、発症者は彼女の駒である。また女王感染者である古手梨花も今回はプレイヤーでなくフェザリーヌの駒である
■「鬼騙し編」と「綿騙し編」を比較
鬼騙し編
・ルールXによる発症者はレナ。自身の殺人が暴かれると誤解して圭一を襲撃
・富竹と鷹野は行方不明。翌日に大石が圭一に接触
・梨花と沙都子の死体が、彼女たちの自宅で発見される
綿騙し編
・ルールXによる発症者は魅音? 圭一に危機が迫っているとして彼を幽閉
・富竹と鷹野は行方不明。軽トラで逃走する姿が目撃される。当日に大石が圭一に接触
・魅音と沙都子の死体が、園崎本家廊下で発見される
・梨花の死体が校内の便槽で発見される
・詩音・お魎・公由村長の死体が園崎家の古井戸から発見される
共通点
・発症者と思しき人物が圭一に接触する(ただし目的は殺害と保護で真逆である)
・富竹と鷹野が行方不明になる
・沙都子がまるで相討ちのような形で死亡する
駒の動きを考察
発症者による凶行は綿騙し編では圭一を対象にしたものではないため、必ずしも圭一個人を標的にする駒の動きではない
鬼騙し編・綿騙し編に共通して発症者には保護する対象が存在するが、その対象は不定である(鬼騙し編ではレナの父親、綿騙し編では圭一が該当する)
富竹と鷹野の行方不明は必ず発生するため、鬼騙し編と綿騙し編で彼らの動きは同じである可能性が高く、鬼騙し編でも祭具殿に侵入していると考えられる
梨花の死亡状況が不定であるため、旧作のような強固な意志での殺害かは疑問(ただし「綿流し編」はイレギュラーなシナリオであるため、同じく「綿騙し編」もイレギュラーだと仮定するなら現状の情報で判断するのは難しい)
沙都子の死亡状況が共通するため、何らかの強固な意志が作用している可能性が高い
■仮説 倒すべきキングの駒が不定である
「鬼騙し編」「綿騙し編」に共通して発症者には保護しようとする対象が存在した。そしてレナも魅音も対象を守るため凶行に至っている
各シナリオにおける保護の対象、これがフェザリーヌ側の最も重要な駒=キングである
つまりゲーム開始時点で「フェザリーヌ側のキングが誰であるか」の設定が毎回異なるのだ
そしてキングを守る駒=発症者には雛見沢症候群のフラッシュバックで事前に危機を察知させ、さらに疑心暗鬼の増大によって警戒心を過剰に駆り立てることで、あらゆる敵からキングを守り通させるのである
■仮説 古手梨花はクイーンの駒である
女王感染者である梨花は文字通り、フェザリーヌ側のクイーンの駒だ。強力だが、この駒を討ち取られたところで敗北するわけではない
つまり「業」において古手梨花の生存は勝利条件に関係しない
また古手梨花の駒の役割は惨劇を手引きすることである。「鬼騙し編」では圭一にレナへの警戒を解かせ、「綿騙し編」では魅音に圭一を保護する動機を、さらに古手家への不信感を魅音たちに植え付けた
■仮説 北条沙都子という駒の動き
「鬼騙し編」での沙都子は梨花を殺害しようとして相討ちにもつれ込んだ可能性が高い。また「綿騙し編」では園崎家を訪れるも魅音と相討ちで死亡したと考えられる
二つのシナリオで、沙都子が襲撃したと思しき相手は全く異なる。ただ、共通しているのはどちらもフェザリーヌ側の駒であるという点だ
沙都子はラムダデルタ側の駒であり、恐らくクイーンである
沙都子は旧作での鷹野のポジションに該当すると考えられる
そして鷹野と同じく梨花の殺害を目的としているならば、「綿騙し編」で園崎本家を訪れたのは「行方不明の梨花が匿われている」と勘違いしたからである(そして疑心暗鬼を発症している魅音に殺害された)
「綿騙し編」の梨花は魅音か詩音のどちらかによって殺害されている可能性が高い(イレギュラーパターン)
■仮説 御神体に隠された秘宝
「綿騙し編」で詩音が落下させた御神体の頭部は最初から既に破損していた。これは綿流し以前に何者かが祭具殿に侵入し、御神体内部に隠されている秘宝のようなものを持ち去ったためである
これは二つの編で共通して発生する、富竹と鷹野の行方不明にも関係してくる
富竹と鷹野が毎回行方不明になるのであれば、「鬼騙し編」でも祭具殿に侵入したと考えられる。実際、富竹はどちらの編でも梨花の演舞を撮影していない
富竹・鷹野が行方不明になる=トラックを奪って逃走する理由は、祭具殿への侵入が発覚して何者かに命を狙われているためだ。それは単に祭具殿の禁を侵したからではなく、御神体内部の秘宝の紛失していたことで、富竹たちが秘宝を盗んだのだと誤解されたからだと考えられる
この秘宝はフェザリーヌ側にとってゲームを左右する重要なアイテムであると考えられる。そのため不可侵領域の祭具殿、さらに御神体の中に隠すという厳重な守りを敷いているのである
また大石が富竹たちの動向を探るのは、彼らが行方不明だからではなく、秘宝を持ち去ったと誤解しているためだ。「綿騙し編」で祭り当日の夜に圭一に急接触したのは、圭一が祭具殿に忍び込んだ共犯者だからだ。つまり大石もフェザリーヌ側の駒である
そして秘宝を持ち去った真犯人は沙都子である。祭具殿の扉は南京錠で施錠されているが、屋根の通気窓から侵入できるという事実を沙都子は知っている
秘宝の正体は不明。旧作通りなら「鬼狩柳桜」が納められているはずだが、御神体そのものが左右反転しているため、それとは異なるものが隠されている可能性もある。また神具の類ではなく、雛見沢症候群の治療薬・特効薬、それについて記された古文書の類かもしれない
■仮説 北条沙都子とラムダデルタの勝利条件
沙都子の勝利条件=ラムダデルタの勝利条件は、御神体の秘宝を用いてフェザリーヌのキングを討取ることだ。だだ相手のキングが特定できないため、女王感染者である梨花の殺害を実行している
キングを討取られたことによりフェザリーヌの敗北が決定し、雛見沢症候群を消滅させることで悟史が目を覚ます。これが沙都子という駒の勝利条件である
たとえば女王感染者ならぬ「王感染者」と呼ばれる親虫が存在し、その対象を治療・殺害することで雛見沢症候群が機能停止するなどの展開が考えられる。旧作では女王感染者の死によって全感染者が発狂することを前提にした34号マニュアルが存在したが、今作では梨花の死亡発覚後であってもマニュアルに基づいた滅菌作戦が実行されていない。雛見沢症候群、とりわけ「親虫」の設定に根本的な変更が行われている可能性は高い
逆にゲーム内で悟史が死亡すれば沙都子の勝利条件は満たせなくなる。つまり悟史はラムダデルタ側のキングの駒である
■予想 カギを握るのは北条鉄平?
「鬼騙し編」ではレナの父親、「綿騙し編」では圭一が、発症者の保護する対象となっていた。共通するのは、どちらも男性である点と、最近になって(竜宮家の場合は再び)村に住むようになった点だ。
この二つの点に該当し、「祟騙し編」のキーパーソンとなるだろう人物がいる。それは北条鉄平だ。ここで「祟騙し編」のキングは北条鉄平だと予想する。
ラムダデルタのクイーンである沙都子、フェザリーヌのキングである鉄平。出題編を締めくくるに相応しいシナリオとなりそうだ。