140字で足りないこと

最近「うみねこのなく頃に」を始めました。

ひぐらしのなく頃に業 「鬼騙し編」時点での考察

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■前提 ルールXYZ

雛見沢の惨劇の要因として3つのルール「XYZ」が存在する

 

ルールX

雛見沢症候群」による凶行

エピソード毎に発症者が異なる

 

ルールY

鷹野の「強固な意志」による事件

H173投与による富竹の殺害、そして梨花の腸流しと滅菌作戦を遂行

 

ルールZ

全ての事件について園崎家が黒幕であるというブラフ

綿流しの日に祟りが発生するという共通認識・土壌

 

■前提 ゲームマスターとプレイヤー

雛見沢の惨劇をゲームに見立てて俯瞰する、上層世界の魔女たち

 

フレデリカ・ベルンカステル

いわゆるループしている古手梨花の意識そのもの

盤上の駒であり、同時に上層世界のプレイヤー

昭和58年の惨劇を生き延びることが目的である

 

ラムダデルタ

事件の黒幕である鷹野三四を駒とする上層世界のプレイヤー

「絶対」の魔女であり、「一人を必ず殺す力」を持つとされる
ルールYは彼女の指し手によるものであり、鷹野の滅菌作戦実行を勝利条件とする

 

フェザリーヌ(羽入)

雛見沢というゲーム盤のゲームマスター

記憶装置にダメージを受けたために人格が幼児退行し、羽入という存在に変容した

勝利条件を忘失したため、駒である古手梨花にゲームの進行を託して自らは傍観者となった


■仮説 「業」における新たな惨劇のルール

 

●ルールX

 

 ・記憶のフラッシュバックが発症のトリガー

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鬼騙し編の圭一は異なるカケラ(鬼隠し編)の記憶が頻繁にフラッシュバックしている
これは圭一に限った事例ではなく、他の登場人物についても彼と同様で、記憶のフラッシュバックが発生していると考えられる

 

鬼騙し編においてルールXの凶行に至ったのはレナであった

罪滅し編でリナ・鉄平を殺害した記憶がフラッシュバックし、殺害してしまったと思い込んだことが発祥のトリガーとなっている

 

彼女の発症プロセスは以下の通りである

 

 6/13

部活の「宝探し」から罪滅し編がフラッシュバック。リナと鉄平を殺害した記憶が混濁するようになる

6/14

雨天。死体の隠蔽処理にダム現場に向かうが、殺人自体が幻覚であり死体発見できず

6/15

ダム現場を捜索中に圭一と鉢合わせ。雑誌を隠す圭一を見て、証拠を掴まれたのではと誤解

6/16

ケンタくん人形の掘り出し。死体処理のために用意していた道具で運搬

6/17

富竹と遭遇。「探偵かスパイだと勘違いしていた」という圭一の発言に疑心を抱く

6/19

綿流し当日。圭一が富竹に接触しないか監視

6/20

圭一に大石が接触。自分の事件を探られていると誤解

6/22

隠し事をしているだろと圭一に詰問され、圭一と警察が通じていると確信。夜半に圭一が大石と連絡しているのを監視

6/23

圭一が仮病を用いて警察と接触したと判断。夕食を口実に侵入して襲撃、その後死亡した

 

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仮にリナが竜宮家と既に接触していた場合、父は自堕落な生活からは脱しているはずだがエンディングでは依然として酒浸りである様子が描かれている

また圭一が竜宮家を訪れた際にはレナのコレクションを紹介されていた(リナが竜宮家に入り浸っていた場合、部屋は改装されコレクションは処分される)

このことから、鬼騙し編ではリナも鉄平も竜宮家には無関係であると推測できる

 

・ルールYとの結びつき

旧作ではルールYにより発生した富竹の異常死・鷹野の焼死(実際は偽装)が疑心暗鬼のトリガーとなっている

また大石や鷹野との接触で園崎家や雛見沢そのものに対して強い不信感を抱くギミックが存在した

しかし今作では富竹と鷹野が失踪に留まるため、ルールYとルールXの関係性は希薄になっている

つまり綿流し祭の直後に大石と接触した人物が発症しやすい、という攻略法は通用しない

 

罪滅し編ではルールXを打破する切っ掛けとなったフラッシュバックだが、今作ではルールXの誘発要因となる


●ルールY

 

・富竹への事前警告で鷹野の計画を阻止

富竹は入江機関の監視役であり、綿流し当日に鷹野を説得し診療所を制圧

梨花の告発だけで動くか疑問だが、富竹にもフラッシュバックが発生していれば説得力が増す

またテロ計画の事実が発覚すれば速やかに機関の解体が執り行われる(背後に「東京」の勢力争いが存在するため)

 

・入江機関の解体により沙都子が症候群L5(末期)化

沙都子は過去に雛見沢症候群の末期状態に陥ったが、入江機関の治療により小康状態となっている

ただし毎日の投薬(注射)が必要で、これを怠ると再び末期状態となる

鷹野の計画が阻止されたことで6月22日に入江機関が解体され、6月23日には診療所の撤去が完了。これにより雛見沢症候群の研究・治療は事実上中止となる

梨花が翌日以降の投薬分が確保できていない場合、沙都子は少なくとも数日を待たずに末期状態を発症する


・末期状態の沙都子が梨花を殺害

6月24日(レナ襲撃の翌日)に梨花と沙都子の死体が自宅で発見される

同じ包丁で首を突き刺したという状況から、錯乱した沙都子が梨花を殺害後に自害したと推測される

入江機関の解体、それに伴う沙都子の発症が今作のルールYとなる

(入江自身も機関の解体に伴い身柄を拘束されると考えるのが妥当)

鬼騙し編では梨花が殺害されたが、必ずしも梨花の死が沙都子によって引き起こされるかは不明

ただし沙都子発症により、諦観した梨花が自害を選択する可能性は極めて高い


●ルールZ

 

・園崎ブラフの弱体化

先述した通り、富竹の変死が発生しないために今作ではルールYとXの結びつきが弱くなっている

同様にルールZとXの関係性も変容しており、事実、鬼騙し編では園崎家を疑う描写が極めて少ない

つまり今作では、連続怪死事件を「園崎家を中心とした雛見沢の陰謀である」と解釈する空気が希薄になっている

 

・祟り(オカルト)説の横行

園崎家が事件に無関与なことが発覚しても、連続怪死事件は未解決のままである

そのため事件は「園崎家の陰謀」から「本物の祟り」に再解釈されることになる

このオカルト解釈は、記憶のフラッシュバックによる記憶の混濁と強く結びつき、雛見沢症候群の妄想を肥大化させる

 

たとえば鬼騙し編のレナは記憶のフラッシュバックにより、「リナと鉄平を殺害した」と完全に思い込んでいた(雛見沢症候群には思い込みを強化する作用がある)

しかしリナも鉄平も実際には殺されておらず、雛見沢や興宮でレナが遭遇する可能性は当然にある

殺したはずの人物が平然と出歩く姿を目撃したレナが、さらに症状を悪化させるであろうことは容易に推測できる

 

過去のシナリオでも死亡時刻の合わない鷹野など、「死者が生きている」という要素は症候群発症の加速に繋がる例が多い

 

■仮説 「業」における上位存在

 

ゲームマスター・フェザリーヌ

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オープニングのシルエットこそが、羽入の本来の姿であるフェザリーヌである

記憶装置のバグにより人格変容していたフェザリーヌが正常化したことで、再びゲームを執り行うことになったのが「業」のシナリオである

フェザリーヌの復活に伴って羽入は消滅し、あとは残滓がカケラ世界に漂うのみとなっている

 

「業」の惨劇要因たる記憶のフラッシュバックは、フェザリーヌの力によるものである

過去に罪滅し編皆殺し編でフラッシュバックが発生したのも、彼女が本来の力を取り戻しつつあったためだと推測できる

同時に羽入の(ループさせる)力が弱まりつつあったのは、フェザリーヌに復活の兆候があったためと解釈すると、今作での状況と合致する

 

フェザリーヌは雛見沢症候群を発症させることで、発症者を惨劇要因の駒とすることができる

そのため症候群を研究し撲滅させる入江機関、滅菌作戦で雛見沢村住民を抹殺する鷹野三四を阻止する指し手を打つ

鬼騙し編では入江機関の解体により症候群の研究は中止となり、その点ではフェザリーヌの勝利条件は一つ達成したと考えられる

 

余談だが、旧作の綿流し編目明し編では詩音の凶行により鷹野の計画が阻止されたが、これこそがルールXの真価であったとも解釈できる


プレイヤー・ラムダデルタ

旧作ではフレデリカと対立するプレイヤーだったが、今作ではフェザリーヌの対戦相手である

入江機関、鷹野三四という駒を用いて雛見沢症候群を撲滅することを勝利条件とする

その目的はフェザリーヌをオヤシロさまという神の座から引き摺り下ろすためだと考えられる


旧作では滅菌作戦によってフェザリーヌ側の駒を全滅させる指し手を打ったが、今作では鷹野の計画が阻止されたことで別の指し手を迫られている

 

駒・フレデリカ(古手梨花

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フェザリーヌがゲームマスターに復帰したことで、フレデリカ(古手梨花)はプレイヤーから駒のポジションに戻った

フレデリカ(古手梨花)という駒の役目は過去のシナリオの記憶を用いてフェザリーヌの目的を達成することにある


鬼騙し編では圭一への助言でルールXの惨劇(レナの襲撃)に加担し、富竹への警告でルールY(入江機関解体・症候群存続)を達成している


つまり「業」ではフレデリカ(古手梨花)こそが惨劇の元凶である


■仮説 惨劇を打ち破る鍵

 

・最終目的は羽入の復活

フェザリーヌのゲーム盤は強固であり、正攻法では勝ち目は薄い

そこで再びフェザリーヌの記憶装置にダメージを与えることで、羽入を復活させるのが「業」の着地点になると思われる

 

・鍵は北条沙都子

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祟殺し編では、過去に沙都子が祭具殿に迷い込んだ際、オヤシロさま像の腕を破壊してしまったというエピソードが語られた

しかし「業」のオープニングにおけるオヤシロさま像に欠損はなく、この描写は今作でフェザリーヌが復活していることを暗示している

つまりオヤシロさま像自体がフェザリーヌの記憶装置のメタファーであり、それを傷つける役目は沙都子が担っていると予想できる

 

・旧作「ひぐらしのなく頃に」へのループ

フェザリーヌの損傷、羽入の復活に伴って、「業」の雛見沢は幕を閉じて旧作の雛見沢の状況に戻ることになる

つまり「業」の最終話からは、ゲームのロジックを失ったフェザリーヌ(羽入)が古手梨花をループさせる「ひぐらしのなく頃に」の第一話へと繋がるはずである