ひぐらしのなく頃に フェザリーヌたちの裏設定考察と「業」の勝利条件予想
「ひぐらし」「うみねこ」のネタバレを含みます。ご注意ください。
■前提
「ひぐらし」「うみねこ」に直接的な繋がりはない。雛見沢と六軒島はまったく別の世界の話である。
「ひぐらし」の世界にベアトリーチェは存在しないし、「うみねこ」の世界に羽入は存在しない(小此木のように、似て非なる人物はいるかもしれない)。
ただし「なく頃に」シリーズにおいて上層世界は地続きに存在する。
ベルンカステルやラムダデルタ、フェザリーヌは「ひぐらし」「うみねこ」に共通して存在する高位魔女(航海者)である。
ベルンカステルは「ひぐらし」の古手梨花から派生した魔女であり、ラムダデルタは「ひぐらし」で鷹野を駒にしていた魔女である。
またフェザリーヌは記憶装置のダメージによって人格変容を来たし、羽入が誕生した。
■ベルンカステルの誕生
「ひぐらし」ではフェザリーヌがGM(ゲームマスター)を務めていたが、ロジックエラーに陥りゲーム盤を途中で放棄する。
フェザリーヌは、ロジックエラーの修正を駒であった古手梨花(のちのベルンカステル)に押し付け、自身は傍観に徹した。
結果、古手梨花は長いループの果てに奇跡的な出目を得る。それによりロジックエラーは解消され、古手梨花は奇跡の魔女の称号を得た。
これが奇跡の魔女ベルンカステルの誕生である。
※ロジックエラーとはゲームの辻褄が合わなくなったことを意味する。たとえば、「古手梨花の死亡」によって勝利フラグが立つゲームで、「古手梨花の生存」が勝利条件になっていると辻褄が合わないためロジックエラーとなる。
■「ひぐらし」の羽入が無能な理由
「ひぐらし」のGMはフェザリーヌである。
神姦し編でも説明された通り、羽入の正体は雛見沢症候群そのものであり、女王感染者である古手梨花は駒である。
雛見沢村は全員が雛見沢症候群に罹患しており、仮に羽入が症候群の親玉であるなら、彼女がゲーム盤の支配者であることは不自然ではなく、フェザリーヌがGMなのも当然であると言える。
上層世界の視点を抜きにしても、雛見沢症候群を制したものが雛見沢というゲーム盤の支配者なのである。
しかし、実際「ひぐらし」のシナリオで羽入は症候群をコントロールできていない。
神姦し編では羽入の力で末期発症者を鎮静化していたが、祭囃し編までの彼女にそんな能力はなかった。
これは本来GMであったフェザリーヌがロジックエラーに陥り、GMの座を降りたためだと考えられる。
■ラムダデルタはプレイヤー? GM?
「ひぐらし」のGMはフェザリーヌであり、対するラムダデルタはプレイヤーの立ち位置であった。
「うみねこ」で喩えると、フェザリーヌがベアト(祟り・オカルト側プレイヤーにしてGM)であり、ラムダデルタが戦人(ニンゲン側プレイヤー)である。
しかし、フェザリーヌがロジックエラーに陥ったことに乗じて、ラムダデルタは「ひぐらし」GMの座を奪い取ったのではないかと考えられる。
そう推測する根拠が「H173」の存在である。
H173は人為的に雛見沢症候群末期症状を発症させる薬物である。これは、数多のシナリオにおける富竹の死因である。
つまりH173を使用できる鷹野は、雛見沢症候群を自由に発症させられる立場にあり、羽入に代わって雛見沢症候群の支配者となっているのである。
つまり、「ひぐらし」は本来、
フェザリーヌ(GM) VS ラムダデルタ(プレイヤー)
であったが、フェザリーヌがロジックエラーに陥りゲーム盤を放棄、それに乗じてGM権限をラムダデルタが継承したことで、
ベルンカステル(プレイヤー) VS ラムダデルタ(GM)
という立ち位置に変化しているのである。
我々の知る「ひぐらし」の物語は後者の構図で行われたゲームでしかない。
■「うみねこ」EP6との類似点
「うみねこ」EP6では、GMであるバトラがロジックエラーに陥り、対戦プレイヤーのヱリカがGM権限を奪取するも、バトラの駒である雛ベアトリーチェがロジックエラーを解消してゲーム盤を取り戻す…というシナリオが描かれる。
バトラがロジックエラーに陥るのは、「ひぐらし」でのフェザリーヌと同じ。
ヱリカがゲーム盤の領主の座を奪うのは、「ひぐらし」でのラムダデルタと同じ。
雛ベアトがロジックエラーを解消するのは、「ひぐらし」でのベルンカステルと同じ。
つまり、「うみねこ」EP6のシナリオは「ひぐらし」裏設定の解答編となっているのである。
■「ひぐらし業」に向けたヒント
「うみねこ」EP6のシナリオから推測すると、「ひぐらし」のロジックエラーはベルンカステルが解消し、そしてフェザリーヌがゲーム盤を取り戻したことになる。
そのため「ひぐらし業」ではフェザリーヌがGMを務めており、仮にラムダデルタがゲームに参加していても、あくまでプレイヤーの立場である。
それは、ラムダデルタが引き続き鷹野を駒にしていたとしても、彼女が雛見沢症候群を支配する立場にないということを意味する。
つまり「ひぐらし業」ではH173が鷹野の手中に存在しない。
富竹が喉を掻き毟って死ななかったのは、そういうことである。
■予想 前原圭一はラムダデルタの駒?
H173は鷹野の手にはないが、ゲーム盤から存在が消失しているとは限らない。
仮にH173、それに類するものを手に入れたなら、雛見沢症候群を支配する立場になれる。
鬼騙し編の第一話では、魅音が「宝探し」と称してマジックペンを探させる部活を開催した。
マジックペンは注射器の暗喩として機能する。
また魅音は宝探しゲームのGMである。
この部活は、GMが注射器=H173を盤上に隠しているということのメタファーであると考えられる。
ちなみに宝探しゲームでは沙都子が勝利し、マジックペンを手に入れた。
そこから鬼騙し編では、沙都子がH173を手に入れ、それが梨花と沙都子の死因となった可能性が考えられる。
また、宝探しの部活ではGMの魅音が罰ゲームを受けるための特別ルールとして、圭一が勝利したら魅音にラクガキできるというものが設定されている。
つまり、圭一にH173を見つけさせることが、GMであるフェザリーヌを打倒する方法なのではないだろうか?
前原圭一は、ラムダデルタ(フェザリーヌの対戦相手)側のキーパーソン、あるいはキングの駒なのかもしれない。
だからこそ鬼騙し編ではレナが発症して圭一を襲いかかったとも推測できる。
ルールXによる発症者はフェザリーヌの駒となり凶行に至るからだ。
恐らく、綿騙し編以降も圭一が発症者に命を狙われる展開が発生する。これは偶然ではなく、フェザリーヌ側が意図的に仕組んだ指し手である。
ひぐらしのなく頃に業 反転ルールXYZ考察と綿騙し編・祟騙し編の予想
■ルールXYZの反転
「業」におけるオヤシロさまのご神体は、欠損がないだけでなく左右が反転している
これはゲーム盤のルールXYZが反転していることを暗示している
●反転ルールX
仲間を信用することが惨劇要因となる
雛見沢症候群の発症によって、圭一、レナ、詩音が凶行に至る点は従来と同じ
発症自体はフラッシュバックによる記憶の混濁がトリガーとなる
※雛見沢症候群は自身の思い込みを強固にする作用がある
●反転ルールY
富竹の生存が惨劇要因となる
富竹の働きにより終末作戦は中止され、入江機関は早急に解体される
入江機関が不在で投薬できない状況下では、沙都子は必ず末期症状に至る
●反転ルールZ
園崎家、雛見沢暗部への疑惑を解消することが惨劇要因となる
連続怪死事件がニンゲンの仕業ではなく、本当に「オヤシロさまの祟り」だと解釈した発症者が凶行に至る
梨花と魅音は従来のルールにおける大石・鷹野の役割を持つ駒である
梨花は仲間を信用するように助言し、魅音は園崎家への誤解を解消する役割を持つ
■記憶フラッシュバックの法則
「業」では、異なる記憶の「フラッシュバック」がギミックの新要素となっている
ただし無制限に発生するのではなく、一定の法則が存在する
●法則1
フラッシュバックに至るトリガー(類似した状況、言動など)が必要である
鬼騙し編では、圭一が「レナと魅音を撲殺した」記憶は、鉈を振り下ろすという動作がトリガーとなった
そしてレナに「リナと鉄平を殺害した」記憶がフラッシュバックしたのは、部活の種目が「宝探し」だったためである
※罪滅し編で死体が発見されたのは、ダム現場で「宝探し」の部活を行ったため
●法則2
雛見沢症候群の高いレベルで発症したカケラの記憶に限定される
鬼騙し編では、圭一は鬼隠し編の記憶、レナには罪滅し編の記憶のフラッシュバックが発生した
そのどちらも当事者がL5まで発症した世界の記憶を呼び起こしている
ちなみに罪滅し編や皆殺し編で発生したフラッシュバックも、圭一、レナ、詩音に限定されている
このことから、この法則2は従来から存在していると考えられる
沙都子と富竹はほぼ全てのカケラでL5に至っているため、彼らにもフラッシュバックが発生する可能性は高い
また鷹野についても祭囃し編の記憶がフラッシュバックする可能性がある
■綿騙し編・祟騙し編の予想
●綿騙し編
魅音の働きにより園崎家への疑念は解消されるも、今度はオヤシロさまへの恐怖心で凶行に…?
詩音が「既に殺した」と認識している人物と遭遇することで、死者が蘇ったと誤解する展開などが考えられる
●祟騙し編
梨花が生存するシナリオ
「古手梨花が必ず殺される」のが従来のルールYだが、それが反転しているとすれば…?
梨花が生存したことで、滅菌作戦に匹敵する厄災が雛見沢を襲う展開が考えられる
「惨劇回避のために古手梨花は死ななければならない」という提示で出題編が終了し、新章に突入するか
ひぐらしのなく頃に業 「鬼騙し編」時点での考察
■前提 ルールXYZ
雛見沢の惨劇の要因として3つのルール「XYZ」が存在する
ルールX
「雛見沢症候群」による凶行
エピソード毎に発症者が異なる
ルールY
鷹野の「強固な意志」による事件
H173投与による富竹の殺害、そして梨花の腸流しと滅菌作戦を遂行
ルールZ
全ての事件について園崎家が黒幕であるというブラフ
綿流しの日に祟りが発生するという共通認識・土壌
■前提 ゲームマスターとプレイヤー
雛見沢の惨劇をゲームに見立てて俯瞰する、上層世界の魔女たち
フレデリカ・ベルンカステル
いわゆるループしている古手梨花の意識そのもの
盤上の駒であり、同時に上層世界のプレイヤー
昭和58年の惨劇を生き延びることが目的である
ラムダデルタ
事件の黒幕である鷹野三四を駒とする上層世界のプレイヤー
「絶対」の魔女であり、「一人を必ず殺す力」を持つとされる
ルールYは彼女の指し手によるものであり、鷹野の滅菌作戦実行を勝利条件とする
フェザリーヌ(羽入)
雛見沢というゲーム盤のゲームマスター
記憶装置にダメージを受けたために人格が幼児退行し、羽入という存在に変容した
勝利条件を忘失したため、駒である古手梨花にゲームの進行を託して自らは傍観者となった
■仮説 「業」における新たな惨劇のルール
●ルールX
・記憶のフラッシュバックが発症のトリガー
鬼騙し編の圭一は異なるカケラ(鬼隠し編)の記憶が頻繁にフラッシュバックしている
これは圭一に限った事例ではなく、他の登場人物についても彼と同様で、記憶のフラッシュバックが発生していると考えられる
鬼騙し編においてルールXの凶行に至ったのはレナであった
罪滅し編でリナ・鉄平を殺害した記憶がフラッシュバックし、殺害してしまったと思い込んだことが発祥のトリガーとなっている
彼女の発症プロセスは以下の通りである
6/13
部活の「宝探し」から罪滅し編がフラッシュバック。リナと鉄平を殺害した記憶が混濁するようになる
6/14
雨天。死体の隠蔽処理にダム現場に向かうが、殺人自体が幻覚であり死体発見できず
6/15
ダム現場を捜索中に圭一と鉢合わせ。雑誌を隠す圭一を見て、証拠を掴まれたのではと誤解
6/16
ケンタくん人形の掘り出し。死体処理のために用意していた道具で運搬
6/17
富竹と遭遇。「探偵かスパイだと勘違いしていた」という圭一の発言に疑心を抱く
6/19
綿流し当日。圭一が富竹に接触しないか監視
6/20
圭一に大石が接触。自分の事件を探られていると誤解
6/22
隠し事をしているだろと圭一に詰問され、圭一と警察が通じていると確信。夜半に圭一が大石と連絡しているのを監視
6/23
圭一が仮病を用いて警察と接触したと判断。夕食を口実に侵入して襲撃、その後死亡した
仮にリナが竜宮家と既に接触していた場合、父は自堕落な生活からは脱しているはずだがエンディングでは依然として酒浸りである様子が描かれている
また圭一が竜宮家を訪れた際にはレナのコレクションを紹介されていた(リナが竜宮家に入り浸っていた場合、部屋は改装されコレクションは処分される)
このことから、鬼騙し編ではリナも鉄平も竜宮家には無関係であると推測できる
・ルールYとの結びつき
旧作ではルールYにより発生した富竹の異常死・鷹野の焼死(実際は偽装)が疑心暗鬼のトリガーとなっている
また大石や鷹野との接触で園崎家や雛見沢そのものに対して強い不信感を抱くギミックが存在した
しかし今作では富竹と鷹野が失踪に留まるため、ルールYとルールXの関係性は希薄になっている
つまり綿流し祭の直後に大石と接触した人物が発症しやすい、という攻略法は通用しない
罪滅し編ではルールXを打破する切っ掛けとなったフラッシュバックだが、今作ではルールXの誘発要因となる
●ルールY
・富竹への事前警告で鷹野の計画を阻止
富竹は入江機関の監視役であり、綿流し当日に鷹野を説得し診療所を制圧
梨花の告発だけで動くか疑問だが、富竹にもフラッシュバックが発生していれば説得力が増す
またテロ計画の事実が発覚すれば速やかに機関の解体が執り行われる(背後に「東京」の勢力争いが存在するため)
・入江機関の解体により沙都子が症候群L5(末期)化
沙都子は過去に雛見沢症候群の末期状態に陥ったが、入江機関の治療により小康状態となっている
ただし毎日の投薬(注射)が必要で、これを怠ると再び末期状態となる
鷹野の計画が阻止されたことで6月22日に入江機関が解体され、6月23日には診療所の撤去が完了。これにより雛見沢症候群の研究・治療は事実上中止となる
梨花が翌日以降の投薬分が確保できていない場合、沙都子は少なくとも数日を待たずに末期状態を発症する
・末期状態の沙都子が梨花を殺害
6月24日(レナ襲撃の翌日)に梨花と沙都子の死体が自宅で発見される
同じ包丁で首を突き刺したという状況から、錯乱した沙都子が梨花を殺害後に自害したと推測される
入江機関の解体、それに伴う沙都子の発症が今作のルールYとなる
(入江自身も機関の解体に伴い身柄を拘束されると考えるのが妥当)
鬼騙し編では梨花が殺害されたが、必ずしも梨花の死が沙都子によって引き起こされるかは不明
ただし沙都子発症により、諦観した梨花が自害を選択する可能性は極めて高い
●ルールZ
・園崎ブラフの弱体化
先述した通り、富竹の変死が発生しないために今作ではルールYとXの結びつきが弱くなっている
同様にルールZとXの関係性も変容しており、事実、鬼騙し編では園崎家を疑う描写が極めて少ない
つまり今作では、連続怪死事件を「園崎家を中心とした雛見沢の陰謀である」と解釈する空気が希薄になっている
・祟り(オカルト)説の横行
園崎家が事件に無関与なことが発覚しても、連続怪死事件は未解決のままである
そのため事件は「園崎家の陰謀」から「本物の祟り」に再解釈されることになる
このオカルト解釈は、記憶のフラッシュバックによる記憶の混濁と強く結びつき、雛見沢症候群の妄想を肥大化させる
たとえば鬼騙し編のレナは記憶のフラッシュバックにより、「リナと鉄平を殺害した」と完全に思い込んでいた(雛見沢症候群には思い込みを強化する作用がある)
しかしリナも鉄平も実際には殺されておらず、雛見沢や興宮でレナが遭遇する可能性は当然にある
殺したはずの人物が平然と出歩く姿を目撃したレナが、さらに症状を悪化させるであろうことは容易に推測できる
過去のシナリオでも死亡時刻の合わない鷹野など、「死者が生きている」という要素は症候群発症の加速に繋がる例が多い
■仮説 「業」における上位存在
ゲームマスター・フェザリーヌ
オープニングのシルエットこそが、羽入の本来の姿であるフェザリーヌである
記憶装置のバグにより人格変容していたフェザリーヌが正常化したことで、再びゲームを執り行うことになったのが「業」のシナリオである
フェザリーヌの復活に伴って羽入は消滅し、あとは残滓がカケラ世界に漂うのみとなっている
「業」の惨劇要因たる記憶のフラッシュバックは、フェザリーヌの力によるものである
過去に罪滅し編や皆殺し編でフラッシュバックが発生したのも、彼女が本来の力を取り戻しつつあったためだと推測できる
同時に羽入の(ループさせる)力が弱まりつつあったのは、フェザリーヌに復活の兆候があったためと解釈すると、今作での状況と合致する
フェザリーヌは雛見沢症候群を発症させることで、発症者を惨劇要因の駒とすることができる
そのため症候群を研究し撲滅させる入江機関、滅菌作戦で雛見沢村住民を抹殺する鷹野三四を阻止する指し手を打つ
鬼騙し編では入江機関の解体により症候群の研究は中止となり、その点ではフェザリーヌの勝利条件は一つ達成したと考えられる
余談だが、旧作の綿流し編や目明し編では詩音の凶行により鷹野の計画が阻止されたが、これこそがルールXの真価であったとも解釈できる
プレイヤー・ラムダデルタ
旧作ではフレデリカと対立するプレイヤーだったが、今作ではフェザリーヌの対戦相手である
入江機関、鷹野三四という駒を用いて雛見沢症候群を撲滅することを勝利条件とする
その目的はフェザリーヌをオヤシロさまという神の座から引き摺り下ろすためだと考えられる
旧作では滅菌作戦によってフェザリーヌ側の駒を全滅させる指し手を打ったが、今作では鷹野の計画が阻止されたことで別の指し手を迫られている
駒・フレデリカ(古手梨花)
フェザリーヌがゲームマスターに復帰したことで、フレデリカ(古手梨花)はプレイヤーから駒のポジションに戻った
フレデリカ(古手梨花)という駒の役目は過去のシナリオの記憶を用いてフェザリーヌの目的を達成することにある
鬼騙し編では圭一への助言でルールXの惨劇(レナの襲撃)に加担し、富竹への警告でルールY(入江機関解体・症候群存続)を達成している
つまり「業」ではフレデリカ(古手梨花)こそが惨劇の元凶である
■仮説 惨劇を打ち破る鍵
・最終目的は羽入の復活
フェザリーヌのゲーム盤は強固であり、正攻法では勝ち目は薄い
そこで再びフェザリーヌの記憶装置にダメージを与えることで、羽入を復活させるのが「業」の着地点になると思われる
・鍵は北条沙都子
祟殺し編では、過去に沙都子が祭具殿に迷い込んだ際、オヤシロさま像の腕を破壊してしまったというエピソードが語られた
しかし「業」のオープニングにおけるオヤシロさま像に欠損はなく、この描写は今作でフェザリーヌが復活していることを暗示している
つまりオヤシロさま像自体がフェザリーヌの記憶装置のメタファーであり、それを傷つける役目は沙都子が担っていると予想できる
・旧作「ひぐらしのなく頃に」へのループ
フェザリーヌの損傷、羽入の復活に伴って、「業」の雛見沢は幕を閉じて旧作の雛見沢の状況に戻ることになる
つまり「業」の最終話からは、ゲームのロジックを失ったフェザリーヌ(羽入)が古手梨花をループさせる「ひぐらしのなく頃に」の第一話へと繋がるはずである
ひぐらしのなく頃に業 3話時点での予想と仮説
ひぐらし業、鬼騙し編第3話が放送されました。
冒頭で羽入をぶち込んできたり、やたら力の入った演舞のあった前回と比べてかなり地味な回でしたが、情報としてはいくつか面白いものがあったので、いくつかの予想などをここに記しておこうと思います。
1 「鬼隠し+罪滅し」なのか?
Twitterなどを眺める限り、鬼隠し編と罪滅し編をミックスしたカケラと予想されてる方が多いようです。実際、シナリオも鬼隠しをベースに「レナの頑張り物語」など罪滅し編の要素を取り入れてるような様子で進行しています。
第3話の描写から、間宮リナと北条鉄平のどちらか、あるいは両者が既にレナによって殺害されていることは確実だと思われます。
ただ、北条鉄平&リナ殺しは罪滅し編の前哨戦のようなもの。そこからレナが疑心暗鬼に囚われ学校を占拠するのは鷹野のオカルト話を吹き込まれ、さらに大石が接触したからなわけで、鬼騙し編のレナにはそこまで至る動機がありません。
これは圭一についても同様で、富竹・鷹野から祟りについて聞かされたわけでもなく、また大石からも過去の事件と部活メンバーの関りを知らされておらず、疑心暗鬼ポイントをそこまで稼いでません。さすがにレナに対しては不信感を抱きつつありますが、魅音を疑う余地は今のところないですし。
なのでシナリオの着地としては鬼隠しとも罪滅しとも違う部分になるのではないかなと予想しておきます。
2 雛見沢症候群、発症しないかも?
鬼騙し編ではレナが不穏な行動を取っていますが、鬼隠し編のように圭一の疑心暗鬼が生んだ幻想描写というわけではなさそうです。
恐らく、第一話で圭一がダム現場に駆けつけたとき、レナはリナ・鉄平の死体を隠匿する作業をしており、もしかしたら自分の犯罪の証拠を発見されたのではないかと圭一を監視しているに過ぎないのではないかと思います。そして大石が圭一に接触したことで「やっべー」となり圭一の自宅を訪ねたのでしょう。「嘘だッ」の前に「ダム現場でなんか隠したよね?」と問い詰めてるのは、たぶんそういうことです。今回のレナは祟りについてあんま考えてない。
そして上記の行動のロジックにおかしな点はありません。もしレナが既に雛見沢症候群を発症していたら、もうちょっと妄想爆発させてそうな気がします。あとリンパ節が痒そうな描写もないですし。
また圭一も鬼隠し編に比べてかなり冷静な雰囲気です。KOOLではなくCOOL。いたって自然な言動で、とても発症しているようには見えません。
ここからちょっとメタ読みになりますが、シナリオ的な面白さを優先させるならレナも圭一も発症させてガンガン恐怖を煽る演出をする気がします。それをしないということは、今回のカケラには雛見沢症候群が関与しないという線も考えられなくはないでしょう。富竹、今のところ喉を掻き毟ってないですし。
前回の記事で指摘したように、ルールXが根本から変更されている可能性が濃厚になってきました。
そうなると、四年目までの事件はどういう理屈で発生しとんねん? という話になりますが…。
3 富竹と鷹野、どこ行った?
鬼隠し編でも鷹野は行方不明扱いでしたが、富竹はちゃんと変死していました。基本的に死んでしまう富竹のはずが、今回は何と行方不明扱い。死体が出てきていない以上、まだ生存していると考えた方がいいでしょう(うみねこかな?)。
ただ意味不明なのは鷹野の車が祭りの会場に放置され、富竹の自転車も同様に村内に放置されていたという点。
仮に梨花が事前に根回ししていて富竹がどこかに隠れるにしても、興宮まで自転車は使うでしょうし、鷹野だって診療所へ戻るのに自分の車を使うはずです。
鷹野が車を残したのは、失踪をアピールするためという可能性も考えられます。しかしアリバイ作りのためなら失踪よりも焼死体を偽装する方が有効なはずです。これまでそうしてきたように。
さらに言えば、富竹の変死は入江機関を疑わせるためにも必要な事件だったはずです。それが実行されていないということは、東京にまつわるアレコレが存在しないのかもしれません。
鷹野がシロなら失踪の意図が掴めませんし(単純な被害者?)、クロなら死体を提示しない意図が理解できません。あるいは富竹も共犯でまったく異なる事件を画策している可能性もありますが…(キコニアかな?)
4 大石は何がしたいの?
鬼隠し編と同様に圭一に接触してきた大石。祟りの話を吹き込んで富竹と鷹野の失踪について圭一の協力を仰ぎます。
しかし、鬼隠し編のように富竹が変死していたならまだしも、今回は単純に行方が掴めないだけ。それも半日ほどの話です。五年目の祟りだと決めつけるには早計過ぎます。
さらにレナの過去についても電話でべらべらと喋る始末。鬼隠し編では圭一がレナに不信感を抱いていたことから大石が情報提供したはずですが、今回の鬼騙し編で大石がレナの話を始めるのはロジックが成立しません。魅音の秘密について喋るならまだ理解できますが……。
となると、大石は既にリナ・鉄平が殺害されたことを勘付いており、容疑者としてレナをマークしているのではないでしょうか。富竹と鷹野はただの口実。鬼隠しが二人なら、生贄も二人というのはリナと鉄平のことかもしれません。
まあ、第三話の大石の台詞自体は「これから二人死ぬかも」みたいなニュアンスでしたが…。
あるいは大石も断片的に別のカケラを知覚していて、富竹と鷹野は五年目の祟りのはずだと確信しているとか、ないですかね。ないか。ないとは言い切れないか。
ひぐらしのなく頃に業 2話時点での予想と仮説
「ひぐらしのなく頃に」新アニメ化。
放送前の番宣では単純なリメイクのような素振りでしたが、昨日放送の2話から新シリーズ「ひぐらしのなく頃に業」であったことが明かされました。
とはいえファンなら1話の時点で何か様子がおかしいことには気づけていたはず。
鬼騙し編ということで、完全な新規シナリオ。2話冒頭ではいきなり梨花と羽入がカケラを俯瞰する世界で会話を始めます。
どうやら本編終了後の話で、古手梨花としても、ひぐらしの惨劇の根源たるルールXYZと黒幕「鷹野」の存在は既知であるようです。
……つまり再び昭和58年に戻されたとしても強くてニューゲームできる? まあ、そんなわけもないでしょう、ひぐらしなので。
ルールや黒幕が既知なのは視聴者も同じ。
「業」ではこれまでと大きく異なったゲーム盤になっていると予想されます。当然、惨劇のルールXYZも異なるはずです。
……そこで推理に満たない、いくつかの予想をここに掲げておきます。
1 北条沙都子・ラムダデルタ説
まず「黒幕は鷹野三四」という部分を変更してくると考えられます。
ここで新たな黒幕候補として浮上するのが梨花の親友である北条沙都子です。
根拠はありません。
……ありませんが、どうにも胡散臭い描写があります。
上記はヤングエースUP連載中の「ひぐらしのなく頃に業」の一コマです。
この台詞が単純にラムダデルタっぽい。
あ、ラムダデルタはご存知ですか? ひぐらしで鷹野三四を上位世界から操っていた魔女のことです。
第一話の部活(宝探し)シーンでは梨花をトラップに嵌めて宝(マジックペン)をゲットした沙都子。その後、梨花のビックリ箱で仕返しされます。これは「鬼隠し編」には存在しなかったエピソードです。
どうにもベルンカステルとラムダデルタの構図を暗示しているようにも思えてなりません。OPでも背中を向けて対立しているような描かれ方ですし。
またOPで登場する少女の正体も、中学生に成長した沙都子ではないかと予想しています。
というのも、梨花は少なくとも中学生まで成長した段階で、何者かに殺されて鬼騙し編のカケラに至っています。
しかし梨花が聖ルチーア学園に入学したとするならば、雛見沢とは関係のないところで殺害されたということになります。
では誰が聖ルチーアで梨花を殺したのか?
……同じく聖ルチーアに入学した沙都子なら殺害できたのではないでしょうか。動機は不明ですが。
「業」は沙都子が梨花を殺したことから発生したループなのかもしれません。そして彼女が今回のラムダデルタの駒である可能性も、まあ、あるかもな……と思ってます。
2 フェザリーヌ覚醒説
フェザリーヌって知ってますか? ひぐらしのゲームマスターだった魔女のことです。羽入と同一か、近しい存在です。しかし彼女は記憶装置がバグって人格変容でポンコツになったため、自身の勝利条件を忘れてしまっていました。
そこで駒である古手梨花にゲームの進行を任せ、しかし勝利条件も分からないので、梨花は目的不明のゲームを延々とリセマラさせられていました。
やがて梨花は「生きて昭和58年より先の未来を迎えること」を目標に据え、長いリセマラの末に見事達成しましたとさ。……これが「ひぐらしのなく頃に」というお話です。たぶん。
ただ今回、明らかに羽入とは異なる角の民のシルエットがOPで登場しました。
そして髪型と角(正確には角のような記憶装置)の形がフェザリーヌのビジュアルに酷似しています。
もしかすると「業」では正気に戻ったフェザリーヌが、きちんとゲームマスターを務めるシナリオなのかもしれません。
事実、うみねこ本編ではフェザリーヌは正気に戻っており、めっちゃ位の高い魔女として登場していました。
ちなみに、うみねこはひぐらしの3年後、1986年が舞台です。
「業」に登場する成長した古手梨花が中学3年生だとしたら1986年の話です。
フェザリーヌ「ふむ。……ゲームの目的を思い出した。再走するぞ。人の子よ」
3 ベルンカステル・ルールX説
「業」で古手梨花は昭和58年リセマラを始めたわけで、これこそがベルンカステル誕生の前日譚と予想する声も多いようです。
ただベルンカステルは(今回の古手梨花とは別に)既に誕生しており、そして「業」のゲームに干渉を始めているのではないかと予想します。
第二話で圭一が鉈を振り下ろしていたとき、彼の脳裏に鬼隠し編の記憶が一瞬フラッシュバックしました。罪滅し編ほど強烈な記憶ではないみたいですが。
これ、第一話で沙都子が梨花に仕返しを食らったときにレナが一瞬だけ呆けていたのも、同じ理由なんじゃないでしょうか。
レナもまた同様に、鬼隠し編で「圭一に撲殺される」記憶が蘇っていたとしたら、どうでしょう。それも断片的に。
「殺られる前に殺らなきゃヤバい!」ってなりません?
鬼騙し編のレナから殺意が漏れてるように見えるのはこれが原因なのではないでしょうか。
だとすれば、記憶の断片的な知覚による不和こそが今回のルールX。
そして他のカケラの知覚は、本来は奇跡的な確率によって起きる出来事です。……奇跡を操るのはベルンカステル。
ベルンカステルがゲーム盤に介入し、部活メンバーに他のカケラの記憶の「悪いところだけ」見せているとしたら惨劇の要因としては十分すぎるでしょう。
今のところ予想はこの3つ。
当たってなくても言うのは自由ですからね。俺は自由だ。
追記
古手梨花の年齢について
うみねこのなく頃にEpisode3お茶会にてベルンカステルがニンゲン時代のクリスマスのエピソードを語っています。古手梨花の両親が存命であることから年齢は推測可能です。
ラムダデルタについて
「ラムダデルタ卿による回想記」で、名前は伏せられているものの、ラムダデルタが鷹野(田無美代子)に加護を与えていることが明示されています。
また、うみねこの物語を素直に読めば、ひぐらしのゲーム盤において鷹野がラムダデルタの駒であるという理解になると思います。
今回はひぐらしの記事ですので、わかりやすく「操っていた」という表現を用いましたが、「駒にしていた」が適切かもしれません。
キコニアのなく頃に 推理メモ
・哲学的ゾンビ説
工場生まれの人間は生まれながらにセルコンを埋め込まれている。
セルコンにより「人格プログラム」がインストールされており、自我が芽生えることがない(あるいは芽生えた自我は消去される)。
→つまり工場生まれの人間は「人格プログラム」によって動く哲学的ゾンビである。
・御岳都雄ゾンビ説
8MSにより死体を腐敗させることなく動かすことができる。
またセルコンにより「人格プログラム」をインストールすることで、自我を持ったゾンビが完成する。
→御岳都雄の人格はプログラムらしい。
→御岳都雄は既に死んでおり、8MSと「人格プログラム」で生者のように振舞っているだけ?
→都雄の背丈が低いのは既に死亡しており成長しないから?
・セルコン≒雛見沢症候群説
雛見沢症候群の感染者は女王感染者の死亡により暴徒化するとされている。
セルコンのマザーシステムが破壊されると、全人類のセルコンが機能停止し、「人格プログラム」を喪失した人間たちは理性を失った暴徒と化す。
→クロエの仮想空間は、セルコン機能が失われた世界?
→女王感染者のようにマザーシステムを脳内に搭載した人物が存在する?
→「犯人」の狙いは女王感染者、脳内にセルコンのマザーシステムを埋め込んだ人物を殺害すること?
犯人候補→「鷹野三四」に該当しそうな人物
「御岳都雄」「フィーア・ドライツィヒ」「ジェストレス」?
女王感染者候補→「古手梨花」に該当しそうな人物
「コーシュカ」?
→人類の人格を失わせる目的
工場による全人類電脳化は「人格」を前提としており、あらかじめ「人格」を機能停止させることで稼働の意義を喪失させる?
・三人の王、雛見沢御三家説
スリーパーソンは人類滅亡を企む黒幕ということになっているが、実際はジェストレスが実権を握って計画が実行されている。ひぐらしでも雛見沢御三家は事件の核に関与しておらず、鷹野が暗躍していた。
→三人の王はブラフ? 陰謀論の象徴?
うみねこ漫画版EP8とはなんだったのか
ひぐらしのなく頃に、再アニメ化!
うみねこのなく頃に、コンシューマ版開発中!
そんなこんなで……
「うみねこも漫画版EP8準拠でアニメ化してくれ~」
「コンシューマ版も漫画版EP8の内容で再録してくれ~」
という声も少なくないわけですが…。
「原作は最後が投げっぱなしだから漫画版EP8を読めばいいよ」
なんて声も昔からありますが…。
これだけ漫画版EP8が支持されるのには理由がありまして、大幅な加筆により「原作では明らかにされなかった真相」を読者にきちんと開示したという点が大きいと思われます。うみねこ風に申し上げるなら猫箱を開けたとでも言いましょうか。
特に第6巻に収録された「Confession of the golden witch」の内容は凄まじく、EP7におけるクレルの告白を一切の脚色なく描写し、さらには原作では語られざる空白の2年(ベアトが碑文を解き明かしてから事件が起きるまでの葛藤)すらも詳細にコミカライズされています。
この「空白の2年」については、EP7が頒布された2010年当時、「EP8で明かしてくれるんだろうなあ」と期待していた読者もそこそこいた記憶があります。ところが彼らは、実際のEP8で肩透かしを食らい、その後に頒布された「我らの告白」でも当該の内容には触れられませんでした。
…ということは、漫画版のEP8こそが、まさに読者たちに期待されていたEP8そのものの形でして、評価が高いのも頷けるというわけです。
ところがですよ。2020年、平成は終わり令和の世になってまで「うみねこ」に囚われている者たちというのは、原作のEP8を受け入れた側の人間です。それはつまり、猫箱を閉じることを選択した側の人間です。
なので、ヘビーな読者の間では、漫画版EP8のクオリティの高さについては文句ないものの、あのように真相を明かしたというスタンスについて必ずしも絶賛されているわけでもないのです。
ここから本題のような、そうでもないような話をします。
「そもそも原作と漫画版のEP8って、もはや別物じゃない?」と思うんですよね。
「EP8が誰のための物語なのか」と考えたときに、原作と漫画版では対象か異なっているんです。
まず原作EP8ですが、あれは「縁寿のための物語」に見せかけて、実はたぶん違うんですよね。一番最後の最後に「この物語を我が最愛の魔女ベアトリーチェに捧ぐ」の一文が差し込まれるので、結局のところ原作EP8はベアトリーチェに向けた物語なんです。「縁寿はこうやって未来に生きていくよ、だから安心して眠ってね」というニュアンスですかね。
原作EP8は、その物語の対象がベアトだから、わざわざ真相を開示する必要がなかったんです。
対して、漫画版EP8は上述の、ベアトに捧ぐというテキストがありません。その代わり、一番最初の冒頭に、原作には存在しないテキストが追加されています。
今一度物語を紡ごう
安らかに眠る彼の人のためではなく
もう一人の大切なあなたのために
これ、明らかにベアトではなく縁寿ですよね。
そして今一度紡ぐ、というワード。
……つまりですね、漫画版は二周目なんですよ。原作EP8の読了を前提にして設計されているんです。
漫画版EP8は縁寿を対象にした物語である以上、語られざる部分も包み隠さず提示していきました。
まずは絵羽の日記の中身がEP7お茶会そのものであることが明かされました。
次に八城幾子がConfessionのボトルを拾い、安田紗代の告白が提示されます。
最後に、一なる真実において戦人が如何にして島を脱出したのかが描写されます。
漫画版で明かされたものとしては、この3つがメインでしょうか。
……さて、ちょっと逸れますが「原作の八城十八と漫画版の八城十八って中身が別人じゃない?」って話がしたいんですが、いいですか?
八城十八は、六軒島から脱出した戦人が記憶障害に陥って生まれた存在です。記憶そのものは殆ど復活しているのですが、その記憶を自分のものとして受け入れられない、という後遺症に悩まされています。
この八城十八の中にある記憶、…六軒島から脱出した戦人の記憶なんですが、実は原作の十八には「バトラ卿の記憶」があるんじゃないかと推測しています。
つまりEP8の最後で六軒島を脱出した二人は、第8のゲームのバトラ卿とベアトだったわけです。ハロウィンパーティーの地続きですね。ちなみにEP6でそれを示唆する台詞があります。
「ゲームは、消えるだろうな。……だが、俺はもう、魔法を完全に理解している。……だからお前を、ゲーム盤の外へ連れ出せる。………それが、お前の望みだったはずだ。」
で、八城十八は記憶を取り戻していくのですが、それはバトラ卿の記憶である以上、偽書の執筆も容易というわけです。そして数十年の時を経て、寿ゆかりと出会い、十八の中のバトラ卿は黄金郷に迎えられましたとさ……。めでたしめでたし。
ちなみに根拠っぽいものはあったりします。…実は、十八が1986年の六軒島の記憶をフラッシュバックさせるシーンで金蔵の姿があるんですよね。ハロウィンパーティーでは金蔵は生きていることになってたので。
さて一方で、漫画版はどうなのかというと、八城十八の中にあるのは「一なる真実の戦人の記憶」だろうと思われます。
…というのも、漫画版では絵羽の日記の内容が明かされ、事件当日の猫箱の中身が赤で確定してしまっています。だから原作のように「六軒島でハロウィンパーティしてました」のようなIFが許されない。
さあ、漫画版の十八も記憶を取り戻していきますが、今回はバトラ卿の記憶ではなく、ただの戦人の記憶です。これでは原作の十八のように偽書を執筆できませんね。
そこで漫画版オリジナルの「Confession」が登場するわけです。漫画版の十八は全ての真相が記されたメッセージボトルを読むことで、ようやく偽書を執筆するという辻褄を合わせられるのです。
ついでに、漫画版では十八のフラッシュバックの中に金蔵の姿はありません。一なる真実では既に死んでますからね。1986年には出会っていない。
そして漫画版の最後には、一なる真実で戦人が島を脱出するまでの過程が明かされます。これも十八に「一なる真実の記憶」があるからです。
その後、漫画版でも数十年の時を経て、寿ゆかりと出会い、十八の中の戦人は黄金郷に迎えられるわけですが、その黄金郷にはマントを羽織ったバトラ卿が既に待っていました。……なぜか? それはバトラ卿が一周目、つまり原作EP8で、既に黄金郷に迎えられていたからです。
漫画版EP8で黄金郷に迎えられた戦人は「一なる真実の戦人」です。…ということは、彼は原作の段階ではまだ黄金郷に至っていなかったということになります。
…ここで思い出して欲しいのは、ベアトの入水後に追加された漫画版オリジナルの描写です。
共に海に沈んだ戦人とベアトでしたが、気付けば二人はメタ世界に辿り着きいていました。しかし戦人には一なる真実での記憶がなく、そしてEP1からのゲームが始まるぞ…という展開になります。
ループっぽいですが、よく考えると別にループではありません。その後、メタ世界の戦人はベアトと論戦を繰り広げ、真相に至り、バトラ卿となるわけです。
ここで気になるのは「メタ世界の戦人、一なる真実の記憶がないよなあ?」という点です。だからバトラ卿にも一なる真実の記憶がなく、つまり原作EP8では「一なる真実の戦人」は物語から零れ落ちた存在だったのです。漫画版でようやく救済されたと、そういうことです。
…そう考えると、ベアトの事件の動機って「6年前の罪を思い出してもらうこと」なわけですが、メタ世界のベアトは「一なる真実において二人で会話した記憶」を思い出して欲しかったのだろうな…ってなりますね。原作ではそれが叶いませんでしたが、漫画版でようやく…。
まあ、そういうことなんですよね。原作は一周目、漫画版は二周目。これはもうセットで完成するものなので、漫画版だけ読めばいいってのは推奨できないよっていう、逆に漫画版読んでない原作プレイヤーは読んでねっていう、そんなオタクの主張でした。