ひぐらしのなく頃に業 「電脳世界説」
※「うみねこ」「キコニア」のネタバレを含みます
■鬼狩柳桜の解釈
祭具殿の立像に納められているとされる秘宝
その能力を簡潔に述べると「ループの断ち切り」である
古手梨花は殺されるたびに次のシナリオで目覚め、再び昭和58年6月を繰り返すことになるが、この鬼狩柳桜を用いて自害すれば古手梨花は二度と目覚めず、次の世界へとループすることはなくなる
しかし、厳密には古手梨花は世界をループしているわけではない
「100年を繰り返した古手梨花の意識と記憶」が「パラレルワールドに本来存在している古手梨花」を乗っ取り、上書きするという仕組みだからだ
「猫騙し編」のループは6月12日に古手梨花が目覚めたところで始まるが、このとき意識は既に「100年を生きた古手梨花」に乗っ取られており、その世界に6月11日まで生活していた古手梨花の意識や記憶は上書きされて消滅しまっているということになる
であれば、たとえば古手梨花が「祟騙し編」の世界において鬼狩柳桜で自害しようとも、「猫騙し編」の古手梨花は意識が上書きされないというだけで、11日以前の古手梨花自体はそのまま12日以降も存在しているはずである
つまり鬼狩柳桜の能力は、正確には「記憶の抹消」であると言えるだろう
ちなみに紛失している鬼狩柳桜は雛見沢のどこかに隠されているはずで、「鬼騙し編」「綿騙し編」で入江診療所や園崎本家が捜索されていた
実際は既にバラバラに砕かれた状態で、沙都子の持つテディベアの内部に隠されているのではないかと考える
■雛見沢症候群の解釈
雛見沢症候群とは雛見沢村の土着の寄生虫(ウィルス)によって引き起こされる風土病である。そのルーツは地球外にあり、つまり宇宙由来のウィルスである
村民全員が感染しており、また村に訪れただけでも空気感染する
通常は支障がないが、強いストレスなどの影響で稀に発症することがある
発症者は強い疑心暗鬼により攻撃性を増し、最終的には錯乱・発狂状態となる。またリンパが異常な痒みを発し、自害に及ぶこともある
オヤシロさま=羽入の正体は「雛見沢症候群の親虫」というべき存在で、これに感染しているのが女王感染者である古手梨花である
親虫である羽入は本来、雛見沢症候群をコントロールし、発症者を鎮静化する能力を持つが、旧作での彼女は不完全な状態であったためその真価を発揮できなかった
昭和58年の雛見沢症候群は弱体化しており、発症しない限りは日常生活に支障を来たすことはない
しかし古代においては非常に強力なウィルスで、「感染者=発症者」だったのではないかと考えられる
つまり発狂状態がデフォルトであり、女王感染者に寄生する親虫(羽入)が常に鎮静しなければならない状態だったのである
そのため感染者は女王感染者のいる雛見沢村を離れると発症し、そして女王感染者が死亡すると村民全員が集団発症してしまうわけだ
この解釈を採用するならば、高野一二三の仮説は少なくとも古代の雛見沢においては正しかったことになる
そして雛見沢症候群には記憶継承の機能も備わっていると考えられる
「鬼騙し編」「祟騙し編」で圭一が異なる世界の記憶を断片的に知覚しているが、旧作の「罪滅し編」ではより明確な記憶として知覚していた
基本的には断片的な記憶を継承する程度に留まっており、その記憶継承の発生自体も稀である。これは先述した通り雛見沢症候群は弱体化しているためだと考えられる
なお、この記憶継承をほぼ完全な形で行っているのが古手梨花ということになる
■上位世界の解釈
「ひぐらし」を含めた「when they cry」シリーズにおいては、人間たちのパラレルワールド(カケラ)を俯瞰する上位の世界(メタ世界)が存在している
「猫騙し編」で梨花と羽入が会話している場所こそが、そのメタ世界である
メタ世界に存在する者たちは、複数に渡ってパラレルワールド(カケラ)を知覚することができ、そのためニンゲンを超えた存在として「魔女」と呼ばれることがある
ちなみに「100年を生きた古手梨花」も旧作の「賽殺し編」で「魔女フレデリカ・ベルンカステル」を自称するに至っている
メタ世界は肉体・物質に囚われない精神的な世界であり、そのため魔女たちは自我を喪失すれば自然消滅する。自身の存在を確立しない限り存在し得ない世界というわけである
このメタ世界の正体が「電脳世界」なのではないかと考えるのが今回の記事の主旨だ
今回のアニメで、メタ世界の羽入が消滅する際、デジタル的なノイズの表現が用いられていた。これが単なる演出ではなく、意味を含ませた描写である可能性は否定できない
なぜならシリーズ最新作の「キコニア」においては、人類の意識や記憶を巨大な電脳サーバーに移植するというテーマが語られるからだ
「キコニア」の舞台は第三次世界大戦より100年以上経過した未来の世界であり、この超未来で誕生した電脳世界が「ひぐらし」「うみねこ」に存在するメタ世界の正体なのではないかと考える
つまり雛見沢症候群とは電脳世界にアクセスするための超未来のナノマシンであり、これに感染した(寄生された)雛見沢村の住民は死後に記憶を電脳世界にアップロードすることができるのである
そしてウィルスを通じて電脳サーバー上の記憶データをダウンロードするのが記憶継承の仕組みというわけだ
鬼狩柳桜の正体は電脳サーバー上の記憶データを消去するツールであり、このツールを用いて魔女フェザリーヌ(羽入の完全な姿)の記憶データを損傷させたことで人格変容が発生し、羽入の人格が誕生したのではないかと考えられる
この記憶データが修復されたことでフェザリーヌが復活し、彼女こそが「ひぐらし業」の黒幕ではないかと思われる
ひぐらしのなく頃に業 「猫騙し編」に向けて(出題編考察まとめ)
■記事の前提
「鬼騙し編」「綿騙し編」「祟騙し編」の三編を「業」の出題編であるとする
■惨劇のルール
「ひぐらし業」では惨劇に至るルールが旧作と異なる
旧作は惨劇の直接的な原因として以下の2つが存在した
Ⅰ. 雛見沢症候群発症者による凶行
Ⅱ. 鷹野三四の強い意志による殺人
Ⅰについては各編によって異なる人物が惨劇要因となる。「鬼隠し編」では圭一が、「綿流し編」では詩音が発症することで凶行に至った
Ⅱは各編に共通する殺人であり、女王感染者の梨花を抹殺し34号マニュアルに基づいて雛見沢村を滅菌する「終末作戦」のことである(ただし「綿流し編」などでは失敗に終わる)
「ひぐらし業」での惨劇の原因は次のように変更されている
★仮説A 変更された惨劇のルール
ⅰ. 雛見沢症候群発症者たちは「対象者X」を守るために行動
ⅱ. 北条沙都子は「対象者X」を前原圭一に殺させるために行動
ⅰにおける「発症者たち」というのは、高いレベルで発症して疑心暗鬼に陥っている者だけでなく、フラッシュバックなどで旧作の記憶を継承している者も含む(旧作の記憶を完全に継承していると思われる古手梨花も含まれる)
※フラッシュバック(記憶継承)自体も雛見沢症候群の機能の一つであると考える
ⅰⅱに「対象者X」と記述されているのは、各編によって異なる人物が配置されており、旧作ルールX(発症者の凶行)のように不定形な設定になっているためである
以降、それぞれのシナリオを仮説Aに基づいて考察する
■鬼騙し編 考察
「お父さんを守らなくちゃ…。私が家を守らなくちゃ…。」
「鬼騙し編」における「対象者X」はレナの父親である
このシナリオにおいては、レナがフラッシュバックにより「罪滅し編」の記憶を一部継承し、鉄平・リナを殺害(または殺害した記憶が現実と混濁)。自身の殺人が圭一に暴かれると誤解して殺害を目論んで襲撃したという筋書きである
「鬼騙し編」においてレナが疑心暗鬼に陥り圭一を襲撃したことは当然ながら「対象者X」の護衛に結び付く行動だが、圭一が「鬼隠し編」の記憶を継承したことでレナを家に招き入れたことも「対象者X」の護衛に間接的に寄与している
また梨花の助言も上記における圭一の記憶継承と同じ働きをしている
■綿騙し編 考察
「私は圭ちゃんが大好き…。だから、…何がなんでも守りたいんだッ!」
「綿騙し編」における「対象者X」は前原圭一である
このシナリオでは魅音が「綿流し編」と詩音が「目明し編」の記憶を断片的に継承している。魅音が綿流しで圭一と合流直後に富竹たちとの接触を質問したのも記憶継承の影響だと思われる(祭具殿に侵入したことを察知したにしては情報が早すぎる)
魅音は祭具殿に忍び込んだ圭一を祟りの執行者から守ろうとし、また詩音も梨花が祟りシステムの中枢に位置していると誤解して凶行に至ったという筋書きである
「あの子が…元凶なんだよ…」
詩音は「目明し編」で梨花に襲撃を受けており、その記憶を継承したと思われる
「綿騙し編」における魅音の行動(圭一の幽閉)は「対象者X」の護衛という点で不自然な点はない。しかし圭一が圭一を殺すという状況が設定されていることには疑問が残り、詩音の行動も意味を為しているようには見えない
ただし、梨花失踪後における沙都子の態度の急変は圭一の自殺を誘導しているとすれば説明がつかなくもない(仮説Aⅱ)
「綿騙し編」についてはそもそも「対象者Xが圭一である」という見立てが誤っている可能性がある
■祟騙し編 考察
「堪えねぇな。殺されたってここを退かねえぞ……!」
「祟騙し編」における「対象者X」は北条鉄平である
このシナリオでは「祟殺し編」の記憶を継承した圭一が、詩音による鉄平殺害などを阻止し、間接的に「対象者X」の護衛に貢献している
一方で沙都子は虐待の事実がないにもかかわらず、教室で錯乱の演技を見せ圭一を鉄平殺害に焚きつけていた
最終的に沙都子は「鉄平は警察に連行された」と虚偽の証言をし、兄の形見として金属バットを持たせた圭一と鉄平を鉢合わせさせることで殺害させるように仕向けたが、圭一が奇襲を受けたため、彼女の目論見は失敗した
「祟騙し編」の最後で圭一を襲ったのは鉄平ではなく、今回の発症者である大石。北条家に張り込み圭一を銃撃、逃げる沙都子を追跡し境内で発砲したと考えられる
■語り手は前原圭一
「ひぐらし業」の三編は圭一の視点を通して物語が描写されており、基本的には彼が場にいる事象や、証言や報告などで彼が伝え聞いた情報のみで構築されている
また全てのシナリオで最後まで生存しており、圭一が語り手であると解釈するのは妥当である
仮説Aⅱにおいて「沙都子は圭一に対象者Xを殺害させようと仕向けている」としたが、対象者Xは別に圭一自身が殺害する必要性はなく、むしろ「圭一が自ら対象者Xの死を確認する作業」が必要なのではないかと推測する
なお「ひぐらし業」において、ほぼ全ての死体は圭一が第三者から伝え聞いたものばかりであり、圭一本人が自身で確認したものではない
★仮説B 沙都子側の勝利条件
圭一が対象者Xの死体を発見すること(物語の中で死を確定させること)
これは「鬼騙し編」の部活における「圭一がマジックペンを発見した場合、ゲームマスターの魅音が罰ゲームを受けるという特別ルール」に通じている
■御神体の空洞と祭具殿侵入
「綿騙し編」では富竹・鷹野・圭一・詩音の4人が祭具殿に侵入したが、「鬼騙し編」「祟騙し編」でも奉納演武の場に富竹たちの姿はなく、祭具殿侵入自体は三編に共通するイベントだと考えられる。少なくとも「鬼騙し編」でも彼らは自動車などを残したまま行方不明になっており、軽トラックを奪って逃走したと考えられる
しかしこれは、鷹野の「侵入に対する強い意志」が働いているわけではない
「綿騙し編」で確認されたように御神体の頭部は既に破壊され、内部が空洞になっていた。つまり何者かが綿流し以前に侵入し、御神体に納められていた祭具殿の秘宝を持ち去ったと考えられる。(旧作では「鬼狩柳桜」と呼ばれる刀が納められていたが、今作でも同じかどうかは不明)
鷹野が「秘宝を持ち去った犯人」と共謀していたとすれば、彼らの行動は一種の囮、カムフラージュだろうと推測できる。わざわざ祭具殿に侵入して逃走したとアピールすることで、真犯人から疑いを反らすのが目的である
なお、御神体の中身を持ち去った真犯人については、祭具殿の付近に住んでおり旧作でも侵入の前例がある北条沙都子が有力候補として挙げられる
★仮説C 御神体の秘宝
御神体内部の秘宝は全てのシナリオで沙都子が持ち去っており、富竹と鷹野はそのカムフラージュに協力している
「鬼騙し編」「綿騙し編」で登場した作業着の男たちは、「御神体の秘宝」を捜索を目的としていたならば彼らの行動にも筋が通る。「鬼騙し編」では鷹野が犯人だとして診療所を捜索し、「綿騙し編」では詩音も侵入したため園崎家内部に踏み込んだというわけだ(彼らが旧作における「山狗」と同じ所属の存在であるかは怪しい)
■古手梨花の殺害
旧作において世界をループする(正確には別のカケラ・ゲーム盤に移動する)条件として「古手梨花の死」があった
基本的に梨花の死自体は鷹野が緊急マニュアルを発動させるために発生していたが、「目明し編」「賽殺し編」のようにループのために死ぬシナリオも存在する
「ひぐらし業」でもループの条件自体は同じで、第三者が次のシナリオを展開させる目的で梨花を殺害しているのではないかと考える
★仮説D 梨花を殺害する目的
目的は、勝利条件が達成できず次の物語にループさせるためである
「鬼騙し編」において沙都子と梨花の死はお互いが包丁で刺し合ったことが原因で、「祟騙し編」で圭一と鉄平が殴り合った描写はそれの示唆である
「綿騙し編」では「綿流し編」と同じく梨花の死はイレギュラーで沙都子によるものではない。廊下に落ちているのは凶器ではなく魅音が携帯するモデルガンで、境内で拾ったもの(祭の際に落としたと思われる)を届けに来たところ発症した魅音によって射殺された(魅音は錯乱して自殺か)
「祟騙し編」では圭一が大石に殺害されたと思い、境内に戻って梨花を殺害。直後、大石に射殺される(警官の拳銃の装填数は5発。圭一、沙都子、魅音、詩音に発砲後、錯乱して自殺したか)
■ゲームを俯瞰する上位存在の魔女
※上位存在についての説明は省略する
「綿騙し編」において御神体の頭部は既に破損していたものの旧作のように腕が破壊されていたわけではなく、少なくとも完全な姿で存在している
これは「ひぐらし業」においてオヤシロさま=上位魔女フェザリーヌがゲームマスターの座に戻ったことの暗喩である
★仮説E 上位魔女の存在
「ひぐらし業」のプレイヤーはラムダデルタである
■ラムダデルタの駒
「ひぐらし業」では沙都子がキーパーソンとなっており、旧作の鷹野のポジションに据えられている
旧作の鷹野はラムダデルタの駒として雛見沢のゲーム盤に並べられており、今回は沙都子が彼女の駒になっていると思われる
旧作の鷹野はラムダデルタと契約し「神になる」と宣言した。詳細は省くが、「東京の野村」がクライアントになり終末作戦を実行。神を貶めて自らを「オヤシロさま」と名乗るにまで至った
「ひぐらし業」では終末作戦が実行されておらず、それは鷹野と野村の接触も存在しなかったことを意味する。小泉(雛見沢症候群研究を支援する東京の幹部)を失くして失意の鷹野に寄り添ったのは野村ではなく富竹で、そのため両者の関係は旧作よりも密になっている
「ひぐらし業」の沙都子にも、「鷹野における野村」のような存在がいると推測され、その候補としては「田村媛命」が挙げられる
田村媛命は雛見沢症候群とは異なる寄生虫(ウィルス)の長であり、羽入のような存在。雛見沢症候群と敵対する動機は十分にある
旧作でのラムダデルタの駒、鷹野が滅菌作戦を勝利条件としていたとするならば、それはラムダデルタ側にとって「雛見沢症候群の消滅」を目的としたゲームであったことを意味する
「ひぐらし業」も同様で、沙都子側の勝利条件を満たしたときに「雛見沢症候群の消滅」に繋がる何らかの作用が発生するのではないかと推測する
★仮説F ラムダデルタの駒たちの目的
田村媛命の動機は「雛見沢症候群の消滅による領土回復」
北条沙都子の動機は「症候群末期発症者である悟史の回復」
■フェザリーヌの駒
力の衰えた羽入ではなく、フェザリーヌがGMとして展開する「ひぐらし業」のゲーム盤において、雛見沢症候群は完全にGM側(オヤシロさま)の支配下にある
つまり仮説Aⅰで示した症候群の発症者はフェザリーヌの駒であり、彼らはラムダデルタの指し手を阻むように行動する。また疑心暗鬼の発症者は最終的に自殺する傾向にある可能性がある
フェザリーヌ側の勝利条件、ゲーム盤を再び開催した目的は不明だが、雛見沢症候群・特に記憶継承に関係していると思われる
ひぐらしのなく頃に業 「祟騙し編」考察 暫定版
■時系列の確認
6月12日
境内でバーベキュー
鉄平の帰還
6月13日
圭一のフラッシュバック
沙都子の遅刻(祟殺し編では3日間欠席している)
6月14日
沙都子欠席のため知恵が家庭訪問(これ以降、綿流し当日まで鉄平の目撃情報はない)
6月15日
沙都子登校するも昼食中に発狂
詩音来襲
児童相談所直訴(1回目)
6月16日
児童相談所直訴(2回目)
大石が北条家訪問?
6月17日
児童相談所直訴(3回目)
町会・園崎家の説得
6月18日
児童相談所直訴(4回目)
沙都子からの事後報告
6月19日綿流し当日
綿流し祭り
北条家での惨劇
■沙都子の思惑
皆殺し編と異なり救出後の沙都子には痣一つ存在せず、また祟殺し編のように沙都子に怒鳴りつける鉄平の姿を圭一が目撃したわけでもない
このことから虐待の事実はなく、沙都子による狂言の可能性が浮上する
ただし沙都子自身が「叔父に虐待されている」と主張したわけではなく、それ故に児童相談所も慎重な対応を進めることとなっている
教室での嘔吐を伴う発狂が沙都子の演技だと仮定して、しかし「虐待があるような素振りを見せる」「児童福祉士に虐待の事実を否定する」という二つの行動は矛盾している
しかし、圭一に鉄平を殺害するように仕向けるのが沙都子の目的だとすれば、この矛盾は解消する。なぜなら「沙都子が児童相談所に保護される=圭一が鉄平を殺害する動機がなくなる」からだ
6月13日の時点で登校するのは圭一に事態を把握させるためであり、その2日後、6月15日に教室内で発狂するのも圭一を焚き付けるためだとすれば筋が通る
■鉄平殺害を阻止する思惑
沙都子にとっての誤算は6月13日の時点で、祟殺し編における鉄平殺しのフラッシュバックが圭一に発生していたことだ
これにより圭一は沙都子の発狂を目の当たりにしても殺人を決意するどころか、むしろ詩音の衝動的な犯行を制止する側に回っている
つまり、このフラッシュバック(恐らくは雛見沢症候群の機能の一つ)は鉄平の殺害を阻止したい超常存在の思惑が介在していると考えられる
■綿流し当日の鉄平
「ひぐらし業」の語り手であろう圭一(基本的に圭一の視点で知り得た情報のみで物語が構築されている)本人が記憶を喪失しているため、綿流しの夜に現れた鉄平の存在が事実かどうかは判断に困る
ただ鉄平が大石に取り押さえられて連行されたというのは沙都子の証言でしかなく、沙都子に鉄平を殺害させる思惑があるとするなら、実際に鉄平がまだ北条家にいた可能性も十分に考えられるだろう
つまり圭一を北条家に誘い出して悟史の形見である金属バットを渡し、その後に(実際は最初から家にいた)鉄平に襲われるような演技で圭一を焚き付け、半ば強制的に殺害させる手筈だったのではないだろうか
ただし、あくまで圭一に鉄平を殺害させるのが目的であり、圭一の負傷は沙都子にとっても想定外。沙都子の思惑に勘付いた鉄平が先手を打って圭一を襲撃したのだと思われる
ひぐらしのなく頃に業 「綿騙し編」時点での考察
まずはチェス盤を見渡しなさい。
そして駒の動きと役割に気付きなさい。
―――ベルンカステル
■前提 反転ルールXYZ
「業」のゲーム盤は雛見沢の惨劇を生み出すルールが反転している
ルールX 雛見沢症候群による凶行。信頼による惨劇
ルールY 富竹の生存(行方不明)
ルールZ 園崎ブラフの機能不全。雛見沢、特に古手家への不信
■前提 雛見沢症候群によるフラッシュバック
「業」の雛見沢症候群は、異なる世界の記憶がフラッシュバックする機能を持つ。また
高レベルの発症に至ると記憶が完全に混濁する
■前提 フェザリーヌとラムダデルタ
「業」のゲーム盤のゲームマスターはフェザリーヌであり、その対戦相手はラムダデルタである
フェザリーヌ=オヤシロさまは雛見沢症候群の長であり、発症者は彼女の駒である。また女王感染者である古手梨花も今回はプレイヤーでなくフェザリーヌの駒である
■「鬼騙し編」と「綿騙し編」を比較
鬼騙し編
・ルールXによる発症者はレナ。自身の殺人が暴かれると誤解して圭一を襲撃
・富竹と鷹野は行方不明。翌日に大石が圭一に接触
・梨花と沙都子の死体が、彼女たちの自宅で発見される
綿騙し編
・ルールXによる発症者は魅音? 圭一に危機が迫っているとして彼を幽閉
・富竹と鷹野は行方不明。軽トラで逃走する姿が目撃される。当日に大石が圭一に接触
・魅音と沙都子の死体が、園崎本家廊下で発見される
・梨花の死体が校内の便槽で発見される
・詩音・お魎・公由村長の死体が園崎家の古井戸から発見される
共通点
・発症者と思しき人物が圭一に接触する(ただし目的は殺害と保護で真逆である)
・富竹と鷹野が行方不明になる
・沙都子がまるで相討ちのような形で死亡する
駒の動きを考察
発症者による凶行は綿騙し編では圭一を対象にしたものではないため、必ずしも圭一個人を標的にする駒の動きではない
鬼騙し編・綿騙し編に共通して発症者には保護する対象が存在するが、その対象は不定である(鬼騙し編ではレナの父親、綿騙し編では圭一が該当する)
富竹と鷹野の行方不明は必ず発生するため、鬼騙し編と綿騙し編で彼らの動きは同じである可能性が高く、鬼騙し編でも祭具殿に侵入していると考えられる
梨花の死亡状況が不定であるため、旧作のような強固な意志での殺害かは疑問(ただし「綿流し編」はイレギュラーなシナリオであるため、同じく「綿騙し編」もイレギュラーだと仮定するなら現状の情報で判断するのは難しい)
沙都子の死亡状況が共通するため、何らかの強固な意志が作用している可能性が高い
■仮説 倒すべきキングの駒が不定である
「鬼騙し編」「綿騙し編」に共通して発症者には保護しようとする対象が存在した。そしてレナも魅音も対象を守るため凶行に至っている
各シナリオにおける保護の対象、これがフェザリーヌ側の最も重要な駒=キングである
つまりゲーム開始時点で「フェザリーヌ側のキングが誰であるか」の設定が毎回異なるのだ
そしてキングを守る駒=発症者には雛見沢症候群のフラッシュバックで事前に危機を察知させ、さらに疑心暗鬼の増大によって警戒心を過剰に駆り立てることで、あらゆる敵からキングを守り通させるのである
■仮説 古手梨花はクイーンの駒である
女王感染者である梨花は文字通り、フェザリーヌ側のクイーンの駒だ。強力だが、この駒を討ち取られたところで敗北するわけではない
つまり「業」において古手梨花の生存は勝利条件に関係しない
また古手梨花の駒の役割は惨劇を手引きすることである。「鬼騙し編」では圭一にレナへの警戒を解かせ、「綿騙し編」では魅音に圭一を保護する動機を、さらに古手家への不信感を魅音たちに植え付けた
■仮説 北条沙都子という駒の動き
「鬼騙し編」での沙都子は梨花を殺害しようとして相討ちにもつれ込んだ可能性が高い。また「綿騙し編」では園崎家を訪れるも魅音と相討ちで死亡したと考えられる
二つのシナリオで、沙都子が襲撃したと思しき相手は全く異なる。ただ、共通しているのはどちらもフェザリーヌ側の駒であるという点だ
沙都子はラムダデルタ側の駒であり、恐らくクイーンである
沙都子は旧作での鷹野のポジションに該当すると考えられる
そして鷹野と同じく梨花の殺害を目的としているならば、「綿騙し編」で園崎本家を訪れたのは「行方不明の梨花が匿われている」と勘違いしたからである(そして疑心暗鬼を発症している魅音に殺害された)
「綿騙し編」の梨花は魅音か詩音のどちらかによって殺害されている可能性が高い(イレギュラーパターン)
■仮説 御神体に隠された秘宝
「綿騙し編」で詩音が落下させた御神体の頭部は最初から既に破損していた。これは綿流し以前に何者かが祭具殿に侵入し、御神体内部に隠されている秘宝のようなものを持ち去ったためである
これは二つの編で共通して発生する、富竹と鷹野の行方不明にも関係してくる
富竹と鷹野が毎回行方不明になるのであれば、「鬼騙し編」でも祭具殿に侵入したと考えられる。実際、富竹はどちらの編でも梨花の演舞を撮影していない
富竹・鷹野が行方不明になる=トラックを奪って逃走する理由は、祭具殿への侵入が発覚して何者かに命を狙われているためだ。それは単に祭具殿の禁を侵したからではなく、御神体内部の秘宝の紛失していたことで、富竹たちが秘宝を盗んだのだと誤解されたからだと考えられる
この秘宝はフェザリーヌ側にとってゲームを左右する重要なアイテムであると考えられる。そのため不可侵領域の祭具殿、さらに御神体の中に隠すという厳重な守りを敷いているのである
また大石が富竹たちの動向を探るのは、彼らが行方不明だからではなく、秘宝を持ち去ったと誤解しているためだ。「綿騙し編」で祭り当日の夜に圭一に急接触したのは、圭一が祭具殿に忍び込んだ共犯者だからだ。つまり大石もフェザリーヌ側の駒である
そして秘宝を持ち去った真犯人は沙都子である。祭具殿の扉は南京錠で施錠されているが、屋根の通気窓から侵入できるという事実を沙都子は知っている
秘宝の正体は不明。旧作通りなら「鬼狩柳桜」が納められているはずだが、御神体そのものが左右反転しているため、それとは異なるものが隠されている可能性もある。また神具の類ではなく、雛見沢症候群の治療薬・特効薬、それについて記された古文書の類かもしれない
■仮説 北条沙都子とラムダデルタの勝利条件
沙都子の勝利条件=ラムダデルタの勝利条件は、御神体の秘宝を用いてフェザリーヌのキングを討取ることだ。だだ相手のキングが特定できないため、女王感染者である梨花の殺害を実行している
キングを討取られたことによりフェザリーヌの敗北が決定し、雛見沢症候群を消滅させることで悟史が目を覚ます。これが沙都子という駒の勝利条件である
たとえば女王感染者ならぬ「王感染者」と呼ばれる親虫が存在し、その対象を治療・殺害することで雛見沢症候群が機能停止するなどの展開が考えられる。旧作では女王感染者の死によって全感染者が発狂することを前提にした34号マニュアルが存在したが、今作では梨花の死亡発覚後であってもマニュアルに基づいた滅菌作戦が実行されていない。雛見沢症候群、とりわけ「親虫」の設定に根本的な変更が行われている可能性は高い
逆にゲーム内で悟史が死亡すれば沙都子の勝利条件は満たせなくなる。つまり悟史はラムダデルタ側のキングの駒である
■予想 カギを握るのは北条鉄平?
「鬼騙し編」ではレナの父親、「綿騙し編」では圭一が、発症者の保護する対象となっていた。共通するのは、どちらも男性である点と、最近になって(竜宮家の場合は再び)村に住むようになった点だ。
この二つの点に該当し、「祟騙し編」のキーパーソンとなるだろう人物がいる。それは北条鉄平だ。ここで「祟騙し編」のキングは北条鉄平だと予想する。
ラムダデルタのクイーンである沙都子、フェザリーヌのキングである鉄平。出題編を締めくくるに相応しいシナリオとなりそうだ。
ひぐらしのなく頃に フェザリーヌたちの裏設定考察と「業」の勝利条件予想
「ひぐらし」「うみねこ」のネタバレを含みます。ご注意ください。
■前提
「ひぐらし」「うみねこ」に直接的な繋がりはない。雛見沢と六軒島はまったく別の世界の話である。
「ひぐらし」の世界にベアトリーチェは存在しないし、「うみねこ」の世界に羽入は存在しない(小此木のように、似て非なる人物はいるかもしれない)。
ただし「なく頃に」シリーズにおいて上層世界は地続きに存在する。
ベルンカステルやラムダデルタ、フェザリーヌは「ひぐらし」「うみねこ」に共通して存在する高位魔女(航海者)である。
ベルンカステルは「ひぐらし」の古手梨花から派生した魔女であり、ラムダデルタは「ひぐらし」で鷹野を駒にしていた魔女である。
またフェザリーヌは記憶装置のダメージによって人格変容を来たし、羽入が誕生した。
■ベルンカステルの誕生
「ひぐらし」ではフェザリーヌがGM(ゲームマスター)を務めていたが、ロジックエラーに陥りゲーム盤を途中で放棄する。
フェザリーヌは、ロジックエラーの修正を駒であった古手梨花(のちのベルンカステル)に押し付け、自身は傍観に徹した。
結果、古手梨花は長いループの果てに奇跡的な出目を得る。それによりロジックエラーは解消され、古手梨花は奇跡の魔女の称号を得た。
これが奇跡の魔女ベルンカステルの誕生である。
※ロジックエラーとはゲームの辻褄が合わなくなったことを意味する。たとえば、「古手梨花の死亡」によって勝利フラグが立つゲームで、「古手梨花の生存」が勝利条件になっていると辻褄が合わないためロジックエラーとなる。
■「ひぐらし」の羽入が無能な理由
「ひぐらし」のGMはフェザリーヌである。
神姦し編でも説明された通り、羽入の正体は雛見沢症候群そのものであり、女王感染者である古手梨花は駒である。
雛見沢村は全員が雛見沢症候群に罹患しており、仮に羽入が症候群の親玉であるなら、彼女がゲーム盤の支配者であることは不自然ではなく、フェザリーヌがGMなのも当然であると言える。
上層世界の視点を抜きにしても、雛見沢症候群を制したものが雛見沢というゲーム盤の支配者なのである。
しかし、実際「ひぐらし」のシナリオで羽入は症候群をコントロールできていない。
神姦し編では羽入の力で末期発症者を鎮静化していたが、祭囃し編までの彼女にそんな能力はなかった。
これは本来GMであったフェザリーヌがロジックエラーに陥り、GMの座を降りたためだと考えられる。
■ラムダデルタはプレイヤー? GM?
「ひぐらし」のGMはフェザリーヌであり、対するラムダデルタはプレイヤーの立ち位置であった。
「うみねこ」で喩えると、フェザリーヌがベアト(祟り・オカルト側プレイヤーにしてGM)であり、ラムダデルタが戦人(ニンゲン側プレイヤー)である。
しかし、フェザリーヌがロジックエラーに陥ったことに乗じて、ラムダデルタは「ひぐらし」GMの座を奪い取ったのではないかと考えられる。
そう推測する根拠が「H173」の存在である。
H173は人為的に雛見沢症候群末期症状を発症させる薬物である。これは、数多のシナリオにおける富竹の死因である。
つまりH173を使用できる鷹野は、雛見沢症候群を自由に発症させられる立場にあり、羽入に代わって雛見沢症候群の支配者となっているのである。
つまり、「ひぐらし」は本来、
フェザリーヌ(GM) VS ラムダデルタ(プレイヤー)
であったが、フェザリーヌがロジックエラーに陥りゲーム盤を放棄、それに乗じてGM権限をラムダデルタが継承したことで、
ベルンカステル(プレイヤー) VS ラムダデルタ(GM)
という立ち位置に変化しているのである。
我々の知る「ひぐらし」の物語は後者の構図で行われたゲームでしかない。
■「うみねこ」EP6との類似点
「うみねこ」EP6では、GMであるバトラがロジックエラーに陥り、対戦プレイヤーのヱリカがGM権限を奪取するも、バトラの駒である雛ベアトリーチェがロジックエラーを解消してゲーム盤を取り戻す…というシナリオが描かれる。
バトラがロジックエラーに陥るのは、「ひぐらし」でのフェザリーヌと同じ。
ヱリカがゲーム盤の領主の座を奪うのは、「ひぐらし」でのラムダデルタと同じ。
雛ベアトがロジックエラーを解消するのは、「ひぐらし」でのベルンカステルと同じ。
つまり、「うみねこ」EP6のシナリオは「ひぐらし」裏設定の解答編となっているのである。
■「ひぐらし業」に向けたヒント
「うみねこ」EP6のシナリオから推測すると、「ひぐらし」のロジックエラーはベルンカステルが解消し、そしてフェザリーヌがゲーム盤を取り戻したことになる。
そのため「ひぐらし業」ではフェザリーヌがGMを務めており、仮にラムダデルタがゲームに参加していても、あくまでプレイヤーの立場である。
それは、ラムダデルタが引き続き鷹野を駒にしていたとしても、彼女が雛見沢症候群を支配する立場にないということを意味する。
つまり「ひぐらし業」ではH173が鷹野の手中に存在しない。
富竹が喉を掻き毟って死ななかったのは、そういうことである。
■予想 前原圭一はラムダデルタの駒?
H173は鷹野の手にはないが、ゲーム盤から存在が消失しているとは限らない。
仮にH173、それに類するものを手に入れたなら、雛見沢症候群を支配する立場になれる。
鬼騙し編の第一話では、魅音が「宝探し」と称してマジックペンを探させる部活を開催した。
マジックペンは注射器の暗喩として機能する。
また魅音は宝探しゲームのGMである。
この部活は、GMが注射器=H173を盤上に隠しているということのメタファーであると考えられる。
ちなみに宝探しゲームでは沙都子が勝利し、マジックペンを手に入れた。
そこから鬼騙し編では、沙都子がH173を手に入れ、それが梨花と沙都子の死因となった可能性が考えられる。
また、宝探しの部活ではGMの魅音が罰ゲームを受けるための特別ルールとして、圭一が勝利したら魅音にラクガキできるというものが設定されている。
つまり、圭一にH173を見つけさせることが、GMであるフェザリーヌを打倒する方法なのではないだろうか?
前原圭一は、ラムダデルタ(フェザリーヌの対戦相手)側のキーパーソン、あるいはキングの駒なのかもしれない。
だからこそ鬼騙し編ではレナが発症して圭一を襲いかかったとも推測できる。
ルールXによる発症者はフェザリーヌの駒となり凶行に至るからだ。
恐らく、綿騙し編以降も圭一が発症者に命を狙われる展開が発生する。これは偶然ではなく、フェザリーヌ側が意図的に仕組んだ指し手である。
ひぐらしのなく頃に業 反転ルールXYZ考察と綿騙し編・祟騙し編の予想
■ルールXYZの反転
「業」におけるオヤシロさまのご神体は、欠損がないだけでなく左右が反転している
これはゲーム盤のルールXYZが反転していることを暗示している
●反転ルールX
仲間を信用することが惨劇要因となる
雛見沢症候群の発症によって、圭一、レナ、詩音が凶行に至る点は従来と同じ
発症自体はフラッシュバックによる記憶の混濁がトリガーとなる
※雛見沢症候群は自身の思い込みを強固にする作用がある
●反転ルールY
富竹の生存が惨劇要因となる
富竹の働きにより終末作戦は中止され、入江機関は早急に解体される
入江機関が不在で投薬できない状況下では、沙都子は必ず末期症状に至る
●反転ルールZ
園崎家、雛見沢暗部への疑惑を解消することが惨劇要因となる
連続怪死事件がニンゲンの仕業ではなく、本当に「オヤシロさまの祟り」だと解釈した発症者が凶行に至る
梨花と魅音は従来のルールにおける大石・鷹野の役割を持つ駒である
梨花は仲間を信用するように助言し、魅音は園崎家への誤解を解消する役割を持つ
■記憶フラッシュバックの法則
「業」では、異なる記憶の「フラッシュバック」がギミックの新要素となっている
ただし無制限に発生するのではなく、一定の法則が存在する
●法則1
フラッシュバックに至るトリガー(類似した状況、言動など)が必要である
鬼騙し編では、圭一が「レナと魅音を撲殺した」記憶は、鉈を振り下ろすという動作がトリガーとなった
そしてレナに「リナと鉄平を殺害した」記憶がフラッシュバックしたのは、部活の種目が「宝探し」だったためである
※罪滅し編で死体が発見されたのは、ダム現場で「宝探し」の部活を行ったため
●法則2
雛見沢症候群の高いレベルで発症したカケラの記憶に限定される
鬼騙し編では、圭一は鬼隠し編の記憶、レナには罪滅し編の記憶のフラッシュバックが発生した
そのどちらも当事者がL5まで発症した世界の記憶を呼び起こしている
ちなみに罪滅し編や皆殺し編で発生したフラッシュバックも、圭一、レナ、詩音に限定されている
このことから、この法則2は従来から存在していると考えられる
沙都子と富竹はほぼ全てのカケラでL5に至っているため、彼らにもフラッシュバックが発生する可能性は高い
また鷹野についても祭囃し編の記憶がフラッシュバックする可能性がある
■綿騙し編・祟騙し編の予想
●綿騙し編
魅音の働きにより園崎家への疑念は解消されるも、今度はオヤシロさまへの恐怖心で凶行に…?
詩音が「既に殺した」と認識している人物と遭遇することで、死者が蘇ったと誤解する展開などが考えられる
●祟騙し編
梨花が生存するシナリオ
「古手梨花が必ず殺される」のが従来のルールYだが、それが反転しているとすれば…?
梨花が生存したことで、滅菌作戦に匹敵する厄災が雛見沢を襲う展開が考えられる
「惨劇回避のために古手梨花は死ななければならない」という提示で出題編が終了し、新章に突入するか
ひぐらしのなく頃に業 「鬼騙し編」時点での考察
■前提 ルールXYZ
雛見沢の惨劇の要因として3つのルール「XYZ」が存在する
ルールX
「雛見沢症候群」による凶行
エピソード毎に発症者が異なる
ルールY
鷹野の「強固な意志」による事件
H173投与による富竹の殺害、そして梨花の腸流しと滅菌作戦を遂行
ルールZ
全ての事件について園崎家が黒幕であるというブラフ
綿流しの日に祟りが発生するという共通認識・土壌
■前提 ゲームマスターとプレイヤー
雛見沢の惨劇をゲームに見立てて俯瞰する、上層世界の魔女たち
フレデリカ・ベルンカステル
いわゆるループしている古手梨花の意識そのもの
盤上の駒であり、同時に上層世界のプレイヤー
昭和58年の惨劇を生き延びることが目的である
ラムダデルタ
事件の黒幕である鷹野三四を駒とする上層世界のプレイヤー
「絶対」の魔女であり、「一人を必ず殺す力」を持つとされる
ルールYは彼女の指し手によるものであり、鷹野の滅菌作戦実行を勝利条件とする
フェザリーヌ(羽入)
雛見沢というゲーム盤のゲームマスター
記憶装置にダメージを受けたために人格が幼児退行し、羽入という存在に変容した
勝利条件を忘失したため、駒である古手梨花にゲームの進行を託して自らは傍観者となった
■仮説 「業」における新たな惨劇のルール
●ルールX
・記憶のフラッシュバックが発症のトリガー
鬼騙し編の圭一は異なるカケラ(鬼隠し編)の記憶が頻繁にフラッシュバックしている
これは圭一に限った事例ではなく、他の登場人物についても彼と同様で、記憶のフラッシュバックが発生していると考えられる
鬼騙し編においてルールXの凶行に至ったのはレナであった
罪滅し編でリナ・鉄平を殺害した記憶がフラッシュバックし、殺害してしまったと思い込んだことが発祥のトリガーとなっている
彼女の発症プロセスは以下の通りである
6/13
部活の「宝探し」から罪滅し編がフラッシュバック。リナと鉄平を殺害した記憶が混濁するようになる
6/14
雨天。死体の隠蔽処理にダム現場に向かうが、殺人自体が幻覚であり死体発見できず
6/15
ダム現場を捜索中に圭一と鉢合わせ。雑誌を隠す圭一を見て、証拠を掴まれたのではと誤解
6/16
ケンタくん人形の掘り出し。死体処理のために用意していた道具で運搬
6/17
富竹と遭遇。「探偵かスパイだと勘違いしていた」という圭一の発言に疑心を抱く
6/19
綿流し当日。圭一が富竹に接触しないか監視
6/20
圭一に大石が接触。自分の事件を探られていると誤解
6/22
隠し事をしているだろと圭一に詰問され、圭一と警察が通じていると確信。夜半に圭一が大石と連絡しているのを監視
6/23
圭一が仮病を用いて警察と接触したと判断。夕食を口実に侵入して襲撃、その後死亡した
仮にリナが竜宮家と既に接触していた場合、父は自堕落な生活からは脱しているはずだがエンディングでは依然として酒浸りである様子が描かれている
また圭一が竜宮家を訪れた際にはレナのコレクションを紹介されていた(リナが竜宮家に入り浸っていた場合、部屋は改装されコレクションは処分される)
このことから、鬼騙し編ではリナも鉄平も竜宮家には無関係であると推測できる
・ルールYとの結びつき
旧作ではルールYにより発生した富竹の異常死・鷹野の焼死(実際は偽装)が疑心暗鬼のトリガーとなっている
また大石や鷹野との接触で園崎家や雛見沢そのものに対して強い不信感を抱くギミックが存在した
しかし今作では富竹と鷹野が失踪に留まるため、ルールYとルールXの関係性は希薄になっている
つまり綿流し祭の直後に大石と接触した人物が発症しやすい、という攻略法は通用しない
罪滅し編ではルールXを打破する切っ掛けとなったフラッシュバックだが、今作ではルールXの誘発要因となる
●ルールY
・富竹への事前警告で鷹野の計画を阻止
富竹は入江機関の監視役であり、綿流し当日に鷹野を説得し診療所を制圧
梨花の告発だけで動くか疑問だが、富竹にもフラッシュバックが発生していれば説得力が増す
またテロ計画の事実が発覚すれば速やかに機関の解体が執り行われる(背後に「東京」の勢力争いが存在するため)
・入江機関の解体により沙都子が症候群L5(末期)化
沙都子は過去に雛見沢症候群の末期状態に陥ったが、入江機関の治療により小康状態となっている
ただし毎日の投薬(注射)が必要で、これを怠ると再び末期状態となる
鷹野の計画が阻止されたことで6月22日に入江機関が解体され、6月23日には診療所の撤去が完了。これにより雛見沢症候群の研究・治療は事実上中止となる
梨花が翌日以降の投薬分が確保できていない場合、沙都子は少なくとも数日を待たずに末期状態を発症する
・末期状態の沙都子が梨花を殺害
6月24日(レナ襲撃の翌日)に梨花と沙都子の死体が自宅で発見される
同じ包丁で首を突き刺したという状況から、錯乱した沙都子が梨花を殺害後に自害したと推測される
入江機関の解体、それに伴う沙都子の発症が今作のルールYとなる
(入江自身も機関の解体に伴い身柄を拘束されると考えるのが妥当)
鬼騙し編では梨花が殺害されたが、必ずしも梨花の死が沙都子によって引き起こされるかは不明
ただし沙都子発症により、諦観した梨花が自害を選択する可能性は極めて高い
●ルールZ
・園崎ブラフの弱体化
先述した通り、富竹の変死が発生しないために今作ではルールYとXの結びつきが弱くなっている
同様にルールZとXの関係性も変容しており、事実、鬼騙し編では園崎家を疑う描写が極めて少ない
つまり今作では、連続怪死事件を「園崎家を中心とした雛見沢の陰謀である」と解釈する空気が希薄になっている
・祟り(オカルト)説の横行
園崎家が事件に無関与なことが発覚しても、連続怪死事件は未解決のままである
そのため事件は「園崎家の陰謀」から「本物の祟り」に再解釈されることになる
このオカルト解釈は、記憶のフラッシュバックによる記憶の混濁と強く結びつき、雛見沢症候群の妄想を肥大化させる
たとえば鬼騙し編のレナは記憶のフラッシュバックにより、「リナと鉄平を殺害した」と完全に思い込んでいた(雛見沢症候群には思い込みを強化する作用がある)
しかしリナも鉄平も実際には殺されておらず、雛見沢や興宮でレナが遭遇する可能性は当然にある
殺したはずの人物が平然と出歩く姿を目撃したレナが、さらに症状を悪化させるであろうことは容易に推測できる
過去のシナリオでも死亡時刻の合わない鷹野など、「死者が生きている」という要素は症候群発症の加速に繋がる例が多い
■仮説 「業」における上位存在
ゲームマスター・フェザリーヌ
オープニングのシルエットこそが、羽入の本来の姿であるフェザリーヌである
記憶装置のバグにより人格変容していたフェザリーヌが正常化したことで、再びゲームを執り行うことになったのが「業」のシナリオである
フェザリーヌの復活に伴って羽入は消滅し、あとは残滓がカケラ世界に漂うのみとなっている
「業」の惨劇要因たる記憶のフラッシュバックは、フェザリーヌの力によるものである
過去に罪滅し編や皆殺し編でフラッシュバックが発生したのも、彼女が本来の力を取り戻しつつあったためだと推測できる
同時に羽入の(ループさせる)力が弱まりつつあったのは、フェザリーヌに復活の兆候があったためと解釈すると、今作での状況と合致する
フェザリーヌは雛見沢症候群を発症させることで、発症者を惨劇要因の駒とすることができる
そのため症候群を研究し撲滅させる入江機関、滅菌作戦で雛見沢村住民を抹殺する鷹野三四を阻止する指し手を打つ
鬼騙し編では入江機関の解体により症候群の研究は中止となり、その点ではフェザリーヌの勝利条件は一つ達成したと考えられる
余談だが、旧作の綿流し編や目明し編では詩音の凶行により鷹野の計画が阻止されたが、これこそがルールXの真価であったとも解釈できる
プレイヤー・ラムダデルタ
旧作ではフレデリカと対立するプレイヤーだったが、今作ではフェザリーヌの対戦相手である
入江機関、鷹野三四という駒を用いて雛見沢症候群を撲滅することを勝利条件とする
その目的はフェザリーヌをオヤシロさまという神の座から引き摺り下ろすためだと考えられる
旧作では滅菌作戦によってフェザリーヌ側の駒を全滅させる指し手を打ったが、今作では鷹野の計画が阻止されたことで別の指し手を迫られている
駒・フレデリカ(古手梨花)
フェザリーヌがゲームマスターに復帰したことで、フレデリカ(古手梨花)はプレイヤーから駒のポジションに戻った
フレデリカ(古手梨花)という駒の役目は過去のシナリオの記憶を用いてフェザリーヌの目的を達成することにある
鬼騙し編では圭一への助言でルールXの惨劇(レナの襲撃)に加担し、富竹への警告でルールY(入江機関解体・症候群存続)を達成している
つまり「業」ではフレデリカ(古手梨花)こそが惨劇の元凶である
■仮説 惨劇を打ち破る鍵
・最終目的は羽入の復活
フェザリーヌのゲーム盤は強固であり、正攻法では勝ち目は薄い
そこで再びフェザリーヌの記憶装置にダメージを与えることで、羽入を復活させるのが「業」の着地点になると思われる
・鍵は北条沙都子
祟殺し編では、過去に沙都子が祭具殿に迷い込んだ際、オヤシロさま像の腕を破壊してしまったというエピソードが語られた
しかし「業」のオープニングにおけるオヤシロさま像に欠損はなく、この描写は今作でフェザリーヌが復活していることを暗示している
つまりオヤシロさま像自体がフェザリーヌの記憶装置のメタファーであり、それを傷つける役目は沙都子が担っていると予想できる
・旧作「ひぐらしのなく頃に」へのループ
フェザリーヌの損傷、羽入の復活に伴って、「業」の雛見沢は幕を閉じて旧作の雛見沢の状況に戻ることになる
つまり「業」の最終話からは、ゲームのロジックを失ったフェザリーヌ(羽入)が古手梨花をループさせる「ひぐらしのなく頃に」の第一話へと繋がるはずである